2. オリジナルスケールを作成し疼痛評価が可能となった一例

【はじめに】痛みとは「つねに主観的なものである」と定義されており, その痛みを客観的に表現するためのツールとして疼痛評価スケールが使用されている. 当院では緩和チームが提唱し, Numerical Rating Scale(以下NRS)で評価することが多くなっている. 今回, NRSでの表現が困難であった症例に対し, オリジナルスケールを作成したところ良好な疼痛管理が可能となった一症例について報告する. 【症例】70歳代 女性 甲状腺がん 頸部リンパ節転移 肺転移. 左頸部の痛みに対してオピオイドやステロイド等が投与されていた. 今回左頸部~肩, 上腕にかけて痛みの増悪, QOL低下にて入院と...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2012, Vol.62 (1), p.83-84
Hauptverfasser: 島野玲子, 福田あさ美, 本澤文代, 保科恵子, 神尾千草, 河内ルミ, 小川貴子, 杉山千佳子, 内田幸枝, 荻原伸子, 上原俊彦, 神谷輝彦, 菅山留美子, 長倉直美, 中村敏之, 岩崎茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】痛みとは「つねに主観的なものである」と定義されており, その痛みを客観的に表現するためのツールとして疼痛評価スケールが使用されている. 当院では緩和チームが提唱し, Numerical Rating Scale(以下NRS)で評価することが多くなっている. 今回, NRSでの表現が困難であった症例に対し, オリジナルスケールを作成したところ良好な疼痛管理が可能となった一症例について報告する. 【症例】70歳代 女性 甲状腺がん 頸部リンパ節転移 肺転移. 左頸部の痛みに対してオピオイドやステロイド等が投与されていた. 今回左頸部~肩, 上腕にかけて痛みの増悪, QOL低下にて入院となった. 入院後, 頸部への浸潤による神経因性疼痛と考えられたため, 鎮痛補助薬を追加した. 入院当初は, 疼痛の評価にNRSを使用し7~10以上という訴えが多く聞かれたが, オピオイドの増量や鎮痛補助薬の追加にて徐々にNRS5へ疼痛が緩和されたように思われた. しかし, レスキューの使用前後や患者の苦痛表情の有無に関わらずNRS5と返答するばかりであった. 多職種カンファレンスにて疼痛評価について検討し, 疼痛に関する本人の言葉から「笑顔でいられる」「普通」「顔がゆがむほど痛い」「涙が出るほど痛い」と4段階表示の本人用フェイススケールを作成することとした. その結果, 自らスケールの表情を指差して痛みを訴えてくるようになり, 的確な疼痛管理が可能となった. 【考察】フェイススケールは, 疼痛以外のメンタルな部分の影響を受けやすいため正確な評価をすることが難しいとされており, NRS等を使用していることが多い. 今回, 個別のフェイススケールを作成したことで良好な疼痛管理ができた. 今回の事例を通して, 漫然とスケールを使用するのではなく, 患者に合わせてスケールを選択・作成していくことが重要と考える.
ISSN:1343-2826