12. マウスマラリア赤内期感染防御におけるCD8+T細胞の関与

【目的】CD8+T細胞は標的細胞のMHC class I分子と抗原ペプチドの複合体を認識する. マラリア感染において肝臓内型原虫に対してはCD8+T細胞が防御免疫の一翼を担っていることが知られているが, 赤血球内型(赤内期)に対してはMHC class I分子が赤血球上に認められないことから否定的である. 本研究では赤血球内型原虫に対する感染防御におけるCD8+T細胞の関与について再検討を行なった. 【方法と結果】C57BL/6マウスにP. yoeliiの弱毒株を感染させた. 感染を耐過したマウスに強毒株で追加免疫をした免疫マウスからCD8+T細胞を放射線照射マウスに移入し, 強毒株を感染させ...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2011, Vol.61 (3), p.458-458
Hauptverfasser: 今井孝, 石田英和, 平井誠, 鈴江一友, 久枝一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】CD8+T細胞は標的細胞のMHC class I分子と抗原ペプチドの複合体を認識する. マラリア感染において肝臓内型原虫に対してはCD8+T細胞が防御免疫の一翼を担っていることが知られているが, 赤血球内型(赤内期)に対してはMHC class I分子が赤血球上に認められないことから否定的である. 本研究では赤血球内型原虫に対する感染防御におけるCD8+T細胞の関与について再検討を行なった. 【方法と結果】C57BL/6マウスにP. yoeliiの弱毒株を感染させた. 感染を耐過したマウスに強毒株で追加免疫をした免疫マウスからCD8+T細胞を放射線照射マウスに移入し, 強毒株を感染させた. ナイーブマウスのT細胞を移入されたマウスはすべてが死亡したのに対し, 免疫マウスのT細胞を用いた場合にはCD4+T細胞のみならずCD8+T細胞のみが移入されたマウスにおいても強毒株感染後一時的にわずかな虫血症が観察されたものの, 直ちに原虫が排除されることが確認された. パーフォリンKOマウスに弱毒株を感染させると半数が死亡し, 移入実験においてはCD4+T細胞では野生型と同じパラシテミアカーブを描くが, CD8+T細胞では初期の虫血症がKOマウスの方が重篤であり, 治癒に時間がかかるものもいた. 免疫CD8+T細胞移入後に抗IFN-γ抗体を投与し強毒株を感染させるとマラリア感染防御が完全にキャンセルされた. また免疫CD8+T細胞移入後にマクロファージの貪食を阻害する目的でカラギーナンを投与し強毒株感染することですべてのマウスが死亡した. この結果からマウスマラリア赤血球ステージにおいてCD8+T細胞も感染防御に関わっていることが示唆され防御機序についてはパーフォリンの関与があり, IFN-γの産生によるマクロファージの活性化が重要であることが示された.
ISSN:1343-2826