17. 「入院した方が正解かもしれない」と言って入院した肺癌患者の事例
A氏50代男性. アルコール性肝障害等で当院通院中. 平成X年Y月, 肺癌疑いでG病院紹介受診したが, 構音障害出現し, 緊急入院となった. 診断は左S6の原発性肺扁平上皮癌の両肺内多発転移, 肝, 左副腎, 骨(肋骨・左肩甲骨), 脳転移. H病院にてガンマーナイフ施行, 再びG病院で化学療法開始するが, 認知症症状, 発熱出現. CTでも病変増大し, 化学療法は1サイクルで中止し, Y+1月31日, 退院. 当院呼吸器内科より緩和ケア依頼あり, 訪問看護導入した. Y+2月20日, 食欲不振あり, 妻が心配して入院を希望するが, A氏は「俺が邪魔なんか?」と拒否. ステロイド処方で食欲改善...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2011-02, Vol.61 (1), p.89-90 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | A氏50代男性. アルコール性肝障害等で当院通院中. 平成X年Y月, 肺癌疑いでG病院紹介受診したが, 構音障害出現し, 緊急入院となった. 診断は左S6の原発性肺扁平上皮癌の両肺内多発転移, 肝, 左副腎, 骨(肋骨・左肩甲骨), 脳転移. H病院にてガンマーナイフ施行, 再びG病院で化学療法開始するが, 認知症症状, 発熱出現. CTでも病変増大し, 化学療法は1サイクルで中止し, Y+1月31日, 退院. 当院呼吸器内科より緩和ケア依頼あり, 訪問看護導入した. Y+2月20日, 食欲不振あり, 妻が心配して入院を希望するが, A氏は「俺が邪魔なんか?」と拒否. ステロイド処方で食欲改善し, 本人希望であちこち車で出かけていた. Y+3月5日, 悪寒・戦慄あり, 驚いて救急車を呼び入院. CT上左肺完全無気肺を認めた. 骨転移痛と咳に対してオピオイドを開始した. 熱はすぐに下がり妻の説得を振り切り1週間で退院. その後, 呼吸困難の出現でHOT導入. 再び食欲不振となり, 内服も数が合わず, 電話で妻に尋ねるが要領を得ず. 心配した医師が訪問すると, A氏は内服もおぼつかず痛みを我慢していた. 妻は自分が変になってしまうと訴えたが, 入院を尋ねるとA氏は黙ってしまった. 貼付剤にローテーションしたが, 事態は膠着していた. Y+4月8日, トイレに行こうとして転倒. 右前額部を受傷し救急外来受診, 傷の様子からは帰宅可能だが, 医師が本人に「どうしますか?」「帰りますか?」と尋ねると, A氏は「入院した方が正解かもしれない」と答えた. 入院後, 右胸水増量, 排尿困難, せん妄も出現. 持続皮下注に変更. 妻は子供と共に面会に来て食事介助など行なっていたが, 呼吸困難は増悪. A氏は時々うわごとのように妻を呼び, 最期の晩は「一緒にいて欲しい. 泊まってほしい」と願ったが, 入院15日目にひとりで息を引き取った. 検討したい点:入院は正解だったのか. |
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ISSN: | 1343-2826 |