2. がん患者に対する, 早期からの緩和ケア ―患者が望むケアと看護師が必要と考えるケアの共通点と相違点

【はじめに】WHOは, 緩和ケアを「病期の早い段階にも適応し, 延命治療を目指すそのほかの治療-化学療法-放射線療法-とも結びつく」と定義し, 疾病経過の早期から提供されるべきであることを提唱している. しかし緩和ケアは, がん末期に提供される看護のイメージが根強く, 実際に看護師も緩和ケアが, がん患者の限られた期間にのみ行うケアであると考えている場合が多い. また, 患者が終末期以前にどのようなケアを望んでいるか調査した研究は存在しない. 本研究は終末期以前のがん患者の望むケアと看護師が必要と考えるケアを明らかにし, その共通点・相違点から疾病経過の早期から提供する必要のある緩和ケアを考察...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2011-02, Vol.61 (1), p.77-78
Hauptverfasser: 北爪一成, 高澤由起子, 内山奈美恵, 笹原啓子, 関口美千代
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】WHOは, 緩和ケアを「病期の早い段階にも適応し, 延命治療を目指すそのほかの治療-化学療法-放射線療法-とも結びつく」と定義し, 疾病経過の早期から提供されるべきであることを提唱している. しかし緩和ケアは, がん末期に提供される看護のイメージが根強く, 実際に看護師も緩和ケアが, がん患者の限られた期間にのみ行うケアであると考えている場合が多い. また, 患者が終末期以前にどのようなケアを望んでいるか調査した研究は存在しない. 本研究は終末期以前のがん患者の望むケアと看護師が必要と考えるケアを明らかにし, その共通点・相違点から疾病経過の早期から提供する必要のある緩和ケアを考察する. 【用語の定義】終末期以前とは癌の告知をうけてから生命予後6ヶ月以上見込める状態. 【研究方法】「1)研究対象」癌と告知され, 化学療法・放射線療法を目的として入院した終末期以前の患者10名と一般病棟に勤務する看護師78名. 「2)データ収集方法」患者:半構造的面接法 看護師:質問紙法(自由回答式)【結果および考察】共通点は情報提供, 傾聴, 環境整備, 普段と変わらない態度, 身体的苦痛の緩和であった. 相違点として他職種との連携, 家族を含めたケアなどは看護師が必要と考えているが患者はまだ必要としていないと考えていることが示された. 患者はやさしく接する, 挨拶を行うなど接遇面での対応を望んでいることが明らかになった. また, 患者は普段と変わらぬ態度を望み, 看護師もそれを心がけていることがわかった. そのような日常の些細なコミュニケーションを大切にすることで患者と看護師の信頼関係構築へとつながり, その後の看護に役立てることができると考える.
ISSN:1343-2826