25. 小形アメーバが原因と思われる急性胆嚢炎の一例
【症例】 67歳男性. 【主訴】 腹痛. 【現病歴】 2009年10月10日, 夕食摂取後に上腹部痛, 嘔吐が出現. 近医受診し内服薬処方(詳細不明)された. 症状は一時軽快したが, 10月19日, 症状再燃したため同院再受診. その際の血液検査, 腹部CTなどから急性胆嚢炎が疑われ, 10月21日当院紹介受診し入院となった. 【既往歴】 糖尿病, 糖尿病性腎症, 高血圧で近医内服通院中. 【入院後経過】 血液検査にてWBC 22400/μl, CRP 28.6mg/dlと著明な炎症反応を認め, 腹部超音波や腹部CTにて胆嚢の腫大・壁肥厚, 周囲脂肪織濃度の上昇などの所見を認め急性胆嚢炎と診断...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2010, Vol.60 (3), p.285-285 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【症例】 67歳男性. 【主訴】 腹痛. 【現病歴】 2009年10月10日, 夕食摂取後に上腹部痛, 嘔吐が出現. 近医受診し内服薬処方(詳細不明)された. 症状は一時軽快したが, 10月19日, 症状再燃したため同院再受診. その際の血液検査, 腹部CTなどから急性胆嚢炎が疑われ, 10月21日当院紹介受診し入院となった. 【既往歴】 糖尿病, 糖尿病性腎症, 高血圧で近医内服通院中. 【入院後経過】 血液検査にてWBC 22400/μl, CRP 28.6mg/dlと著明な炎症反応を認め, 腹部超音波や腹部CTにて胆嚢の腫大・壁肥厚, 周囲脂肪織濃度の上昇などの所見を認め急性胆嚢炎と診断した. 細菌性胆嚢炎を疑いドリペネム水和物(DRPM)0.5g/日による抗生剤加療を開始した. 10月22日, 経皮経肝胆嚢穿刺吸引法(PTGBA)を施行し, 茶色膿性胆汁が得られ, 検鏡にて胆汁内に遊走する小形アメーバを認めた. 胆嚢炎の原因と考え, 同日よりメトロニダゾール(MNZ)1g/日の内服を追加した. 症状・L/D共に速やかに改善したため, 10月27日でDRPMを終了し10月29日に退院となった. 【考察】 小形アメーバは世界中に分布し, 嚢子が経口感染する原虫である. 大腸粘膜上で分裂・増殖するが, 赤痢アメーバ等と異なり一般的には組織侵入性はなく病原性もないとされている. 本症例では, PTGBAにより得られた膿性胆汁内に, 通常は胆嚢内に存在しない小形アメーバが検出され, 胆嚢炎の原因として考えられた. 医学中央雑誌の検索でも小形アメーバ自体の報告は限られており, 大半が疫学調査によるものであり有症状例は海外旅行後の下痢症6例のみであった. 小形アメーバが胆嚢炎の原因と考えられた本症例は稀な症例と思われ報告した. |
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ISSN: | 1343-2826 |