17. 緩和ケアにおける看護師の役割 -カンファレンスで意見統一し家族にアプローチした一症例を通して
【はじめに】がん患者およびその家族の苦痛の軽減, 療養生活の質の維持, 向上のためスタッフ間で話し合い, 患者の意向を尊重し病院で最後を迎えた症例を報告する. 【患者紹介】患者A氏・40代・男性 診断名:胃がん 家族構成:長男と二人暮らし・離婚歴あり・母は70代【経過】胃がんで胃空腸吻合を施行後, 種々の化学療法を行っていたが癌性腹膜炎が進行し入院. 食欲不振, 嘔吐あり, 何とかやっと食べている状態だったが, 本人の希望でTS-1を続けていた. しかし, 腹水貯留し嘔吐が頻回となり, 内服も困難になってきた. 腹腔穿刺を行い, デュロテップパッチにサンドスタチン, デカドロンを併用. 「娘に...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2010, Vol.60 (2), p.195-195 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】がん患者およびその家族の苦痛の軽減, 療養生活の質の維持, 向上のためスタッフ間で話し合い, 患者の意向を尊重し病院で最後を迎えた症例を報告する. 【患者紹介】患者A氏・40代・男性 診断名:胃がん 家族構成:長男と二人暮らし・離婚歴あり・母は70代【経過】胃がんで胃空腸吻合を施行後, 種々の化学療法を行っていたが癌性腹膜炎が進行し入院. 食欲不振, 嘔吐あり, 何とかやっと食べている状態だったが, 本人の希望でTS-1を続けていた. しかし, 腹水貯留し嘔吐が頻回となり, 内服も困難になってきた. 腹腔穿刺を行い, デュロテップパッチにサンドスタチン, デカドロンを併用. 「娘に会えないのが心残り. 離婚後娘には会っていない. 母にも心配かけたくない. 今まで黙ってきたが, 本当はフィリピン人の恋人がいて, 結婚したい. フィリピンに行きたい. 」など看護師にA氏がぽつりと個別に打ち明けたため, スタッフ間で相談し, 緩和ケア依頼となる. 師長, 主治医とA氏と面談し今後は入院生活を中心に外出, 外泊をしていく事となる. 家族にも面談し了承を得る. 長女にも働きかけ面会もあり, 恋人の自宅に外泊する事もできた. しかし徐々に痛みの訴えと嘔吐が頻回となり, 塩モヒの持続皮下注開始. 翌日には痛み, 嘔気訴える事なく, 子供達に手を握られ, 母, 弟, 姉夫婦, 恋人に見守られて永眠される. 【考察】今回は家族背景が複雑で, 年齢も若くA氏は自分の事を多く語らなかった. 看護師にもぽつり, ぽつりと語るだけであり, スタッフ間の情報交換が必要であった. カンファレンスで情報収集がおこなえ, 面談で患者の意向が確認できた. 緩和ケアを行っていく上で, 看護師が患者の情報をきちんと収集していく事, また情報を共有していくことが, 患者のQOLの向上につながっていくと考える. しかし, 治療中心の症状コントロールとなってしまい, 患者の生きる希望や穏やかな気持ちでいられるか? について, 緩和ケアカンファレンスには至らず, 今後の課題となる. |
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ISSN: | 1343-2826 |