17. TS-1/PTX療法が奏効しQOLの改善が得られた両側乳癌, 転移性胃癌, 癌性腹膜炎の一例

症例は46歳, 女性. 腹部膨満感を主訴に当院初診. 多量の腹水貯留を認め精査. 内視鏡検査にて広範囲にタコイボ様不性胃粘膜を認め, 組織検査にて低分化型腺癌と診断, CT検査にて癌性腹膜炎, 両側卵巣転移も疑われた. 左乳房に違和感あり当科受診. 両側乳房に境界不明な硬結を触れ, 組織検査にて硬癌と診断, 両側乳癌, リンパ節転移, 多発骨転移であった. 病理学的検査では胃癌と乳癌の組織型の分化度は低く, 免疫染色にて共にER, PRは強陽性であったので, 乳癌による全身転移が疑われた. ステージIV乳癌の診断でTS-1 80mg/m2 2週投与1週休薬, PTX50mg/m2 1, 8日目...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2010, Vol.60 (1), p.83-84
Hauptverfasser: 中熊尊士, 荒牧直, 飯塚美香, 岩崎賢太郎, 平井俊男, 塩澤邦久, 栗田淳, 宮内邦浩, 上野聡一郎, 長田宏巳, 仙石紀彦, 蔵並勝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は46歳, 女性. 腹部膨満感を主訴に当院初診. 多量の腹水貯留を認め精査. 内視鏡検査にて広範囲にタコイボ様不性胃粘膜を認め, 組織検査にて低分化型腺癌と診断, CT検査にて癌性腹膜炎, 両側卵巣転移も疑われた. 左乳房に違和感あり当科受診. 両側乳房に境界不明な硬結を触れ, 組織検査にて硬癌と診断, 両側乳癌, リンパ節転移, 多発骨転移であった. 病理学的検査では胃癌と乳癌の組織型の分化度は低く, 免疫染色にて共にER, PRは強陽性であったので, 乳癌による全身転移が疑われた. ステージIV乳癌の診断でTS-1 80mg/m2 2週投与1週休薬, PTX50mg/m2 1, 8日目DIV併用療法施行. 15クール終了時の評価では胃癌, 癌性腹膜炎, 卵巣転移は消失し, 乳癌, リンパ節転移もコントロールされ, 化学療法期間中に大きな有害事象も認めなかった. 病状も落ち着いたので治療開始後1年6ヶ月よりホルモン療法とゾレドロン酸投与で経過観察. 10ヶ月経過し, 癌性腹膜炎再燃するも同併用療法行いコントロールされている. TS-1/PTX療法が奏功し, QOLの改善が見られた両側乳癌, 全身転移の一例を経験したので報告する.
ISSN:1343-2826