5. 在宅療養を患者・家族が選択することができた一症例の報告

【はじめに】がん終末期患者の多くは在宅での生活を希望するが, 終末期患者を介護するという家族の不安は大きく, 在宅への選択が困難な場合が多いと感じている. このような不安を明確にし, 支援したことで患者・家族が自ら「在宅」を選択することができた一症例を報告する. 【症例】70歳, 男性. 膵臓がん, 肺転移, 糖尿病. 化学療法を中断, 症状マネージメント中. 便秘にて入院となった. 便秘の解消後, 全身衰弱, 環境の変化による見当障害が生じ, 日中も傾眠であった. I:家族が強く入院を希望していた時期本人は力なく「帰りたい」と話し, 妻, 娘は毎日面会して差し入れなどできることを行っていたが...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2010, Vol.60 (1), p.68-69
Hauptverfasser: 神宮彩子, 古関雅美, 柳澤千鶴子, 高橋和宏, 吉永輝夫, 神田大輔, 山口亜樹子, 平山功, 吉田長英, 河合弘進, 細内康男, 深澤一昭, 仁科砂織, 関根奈光子, 望月裕子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】がん終末期患者の多くは在宅での生活を希望するが, 終末期患者を介護するという家族の不安は大きく, 在宅への選択が困難な場合が多いと感じている. このような不安を明確にし, 支援したことで患者・家族が自ら「在宅」を選択することができた一症例を報告する. 【症例】70歳, 男性. 膵臓がん, 肺転移, 糖尿病. 化学療法を中断, 症状マネージメント中. 便秘にて入院となった. 便秘の解消後, 全身衰弱, 環境の変化による見当障害が生じ, 日中も傾眠であった. I:家族が強く入院を希望していた時期本人は力なく「帰りたい」と話し, 妻, 娘は毎日面会して差し入れなどできることを行っていたが「食べてくれない. 日に日にやせていく. 退院なんて無理.」と話された. II:外泊後在宅に対する不安が明確になってきた時期状態も落ち着き, 外泊を提案した. 帰院後の本人の表情もよく退院希望がより強くなり, 家族も自宅では見当障害なく過ごせたことに驚き, 退院を視野にいれた話がでてきたためMSWと共に面談を実施. 在宅に対する不安が明確になった. III:本人, 家族共に在宅療養希望に至った時期明確になった不安は通院, 患者の状態に対しての対応で, 在宅では家族で全て介護を行うものと思っていた. 社会支援を取り入れ, 状態に合わせ介護ができることを伝え, 往診医と面談, 本人, 家族共に自ら在宅を希望し在宅療養, 在宅での看取りとなった. 【考察・まとめ】変化していく患者状態, その患者に自分たちは何ができるのかという不安, また在宅療養は全て家族で行うという誤認があった. 外泊での体験から, 家族の不安も明確にすることができ, その不安に応え, 必要としていた情報を提供することができたため患者, 家族共に療養の場を意思決定できたと考えた. 在宅療養に限らず患者, 家族が体験を通じていく中で生じる不安を軽減できるよう支援し, 療養生活の場を自己決定できることが望ましい.
ISSN:1343-2826