4. 両肺野にびまん性スリガラス陰影を呈した成人T細胞白血病の1例

【症例】 71歳 男性 【主訴】 皮疹, 血痰 【既往歴】 肺結核(23歳, 10ヶ月間治療), 慢性C型肝炎 【喫煙歴】 60本/日×5年BI:=300 【出身地】 福岡県 【家族歴・アレルギー歴】 特記すべきこと無し 【職業歴】 アスベスト噴霧されたボイラー室の仕事(15年) 【現病歴】 2007年頃より上下肢に皮疹出現し, 近医皮膚科受診していたが, 改善は認められなかった. 2008年10月上旬より血痰が出現. 近医受診し投薬を受けたが血痰が持続するため, 11月4日精査目的に当院紹介受診となった. 【検査所見】 WBC34000/μl(Lymph25.0%, Eosio 14.0%,...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2009, Vol.59 (4), p.376-376
Hauptverfasser: 下山大輔, 石原真一, 佐藤浩央, 樋口清一, 小林裕幸, 荒井泰道, 鈴木豊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】 71歳 男性 【主訴】 皮疹, 血痰 【既往歴】 肺結核(23歳, 10ヶ月間治療), 慢性C型肝炎 【喫煙歴】 60本/日×5年BI:=300 【出身地】 福岡県 【家族歴・アレルギー歴】 特記すべきこと無し 【職業歴】 アスベスト噴霧されたボイラー室の仕事(15年) 【現病歴】 2007年頃より上下肢に皮疹出現し, 近医皮膚科受診していたが, 改善は認められなかった. 2008年10月上旬より血痰が出現. 近医受診し投薬を受けたが血痰が持続するため, 11月4日精査目的に当院紹介受診となった. 【検査所見】 WBC34000/μl(Lymph25.0%, Eosio 14.0%, 異型Lymph26.0%), LDH466IU/L, 可溶性IL-2R20000U/ml, HTLV-1抗体(EIA法)陽性, HTLV-1抗体(west-blot法)陽性 【末梢血像】 核に切れ込みのある異常リンパ球が散見 【胸部単純写真・胸部CT】 両下肺野にスリガラス陰影あり. 両肺野にびまん性に分布する小粒状影を認めた. 気管支血管束に連続する浸潤影も散見された. 【肺生検像】 肺胞組織で間質に水腫とリンパ球や形質細胞浸潤を主体とする炎症細胞浸潤あり. T細胞優位のリンパ球浸潤が認められた. 【考察】 ATLに合併する肺病変にはHTLV-1関連肺病変, 腫瘍細胞の浸潤, ニューモシスチス肺炎やサイトメガロウィルス肺炎など日和見感染による肺炎が挙げられる. HTLV-1関連肺病変は細気管支肺胞領域に特異的な病態像を形成する概念であり, このHTLV-1関連肺病変は1988年木村らの提唱したHTLV-1 associated bronchiolo-alveolar disorderや丸山らの提唱したHTLV-1-associated bronchopneumopathyなどが挙げられる. いずれも肺内に浸潤したHTLV-1陽性リンパ球がIL-2などの液性因子に活性化され増殖した結果, 肺病変を惹起すると考えられている. HTLV-1関連肺病変の臨床症状は無症状から呼吸不全に至るまで多彩であり, 画像のパターンとして木村らは間質性肺炎型とDPB型の2病型に分類し, 丸山らはびまん性網状影, 気管支拡張所見, 線維化像などを挙げている. 本症例では詳細な検討は行っていないため確定診断には至らなかったが, 血清学的検査および病理所見より日和見感染については否定的と考えられ, 腫瘍細胞の浸潤もしくはこのHTLV-1関連肺病変を合併した可能性が考えられる.
ISSN:1343-2826