1. 先天性CMV感染症による重度感音難聴児に対する人工内耳の聴覚活用
【はじめに】近年, 我が国における妊婦のcytomegalo-virus(CMV)抗体保有率は低下傾向にあり, 先天性CMV感染症の増加が懸念される. 先天性CMV感染症は出生後難聴をきたすウイルス疾患としても知られていて, この難聴は生直後に明らかになる症例ばかりでなく, 生後進行し遅発性発症の形をとることもある. 今回我々は先天性CMV感染症による重度感音難聴に対し人工内耳埋め込み術を行った児2症例を経験したので報告する. 【症例1】3歳2ヶ月, 女児. 新生児聴覚スクリーニングでreferとなり, 近医にてABR施行したところ無反応なため1歳5ヶ月で当科受診. 小児科で先天性CMV感染症...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2009, Vol.59 (2), p.227-227 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】近年, 我が国における妊婦のcytomegalo-virus(CMV)抗体保有率は低下傾向にあり, 先天性CMV感染症の増加が懸念される. 先天性CMV感染症は出生後難聴をきたすウイルス疾患としても知られていて, この難聴は生直後に明らかになる症例ばかりでなく, 生後進行し遅発性発症の形をとることもある. 今回我々は先天性CMV感染症による重度感音難聴に対し人工内耳埋め込み術を行った児2症例を経験したので報告する. 【症例1】3歳2ヶ月, 女児. 新生児聴覚スクリーニングでreferとなり, 近医にてABR施行したところ無反応なため1歳5ヶ月で当科受診. 小児科で先天性CMV感染症と診断された. 補聴器装用と言語訓練を開始したが, 2歳過ぎても有意語の発語無く, 補聴効果に乏しいため2歳5ヶ月時, 右耳に人工内耳埋め込み術施行. 術前の聴力(条件詮索反応=CORと示す)は, 平均110.0dBであった. 補聴器装用時の閾値は80~90dBと補聴効果は極めて不良であった. 人工内耳装着7ヶ月後の現在の閾値は40~50dBと著明な改善を認めた. また, 語彙数も手術直前は80程度であったが, 術後は約200に増加した. 【症例2】9歳5ヶ月, 男児. 1歳過ぎまでは音に対する反応があり, 数個単語の発語もあった. 2歳頃より音への反応が悪く, 発語が全くなくなったため2歳1ヶ月時当科受診. ABR, CORで約100.0dB前後の重度難聴を認めた. MRIで脳の白質病変を認めたため, 小児科紹介. 血液検査, 髄液検査で先天性CMV感染症と診断され, それによる難聴の進行で重度難聴になったと判断された. 早急に補聴器装用と言語訓練を開始し, 当初は補聴器装用閾値が50.0dBまで改善を認めた. 3歳過ぎて難聴が更に進行したため3歳5ヶ月で人工内耳埋め込み術施行. 現在の人工内耳装着時の語音明瞭度は62%で, 日常生活における会話聴取は良好であり普通小学校に通っている. 【まとめ】先天性CMV感染症による重度感音難聴に対する人工内耳埋め込みは, 認知面の遅れがなければ良好な聴覚活用が期待できると思われた. |
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ISSN: | 1343-2826 |