25. 肺がん患者へのチームアプローチ -自分らしさをとり戻せた最期の5日間
【はじめに】がん患者の呼吸困難は緩和しにくい症状のひとつであり, 対症療法として薬剤の第一選択はモルヒネとされている. また呼吸困難は不安や抑うつ状態と密接に関連しているため, 薬物療法のみならず非薬物療法も重要な位置づけとしてあげられる. 今回, 肺がん終末期患者に対し緩和ケアチームが介入したことで, 呼吸困難が緩和され自分らしさをとり戻すことができた事例について報告する. 【事例】60歳代 男性 肺癌 癌性胸膜炎. 経過:患者は呼吸不全の状態で, 身の置き場のない苦痛と焦燥感が強かった. すでに家族には看取り期であることが告げられていた. 患者の一番の苦痛は「少し動くと息苦しくなり食事も摂...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2009, Vol.59 (2), p.189-189 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】がん患者の呼吸困難は緩和しにくい症状のひとつであり, 対症療法として薬剤の第一選択はモルヒネとされている. また呼吸困難は不安や抑うつ状態と密接に関連しているため, 薬物療法のみならず非薬物療法も重要な位置づけとしてあげられる. 今回, 肺がん終末期患者に対し緩和ケアチームが介入したことで, 呼吸困難が緩和され自分らしさをとり戻すことができた事例について報告する. 【事例】60歳代 男性 肺癌 癌性胸膜炎. 経過:患者は呼吸不全の状態で, 身の置き場のない苦痛と焦燥感が強かった. すでに家族には看取り期であることが告げられていた. 患者の一番の苦痛は「少し動くと息苦しくなり食事も摂れない」ということであった. また, 家族がそばにいないと不安が強くなり呼吸困難は増強した. そこで緩和目標は「呼吸困難が緩和でき食事が摂れる」「不安を軽減し穏やかに過ごせる」とした. モルヒネ持続静注を開始し, 日常生活におけるナーシングケアを病棟看護師と共に行った. 【結果】「前より苦しくなくなった」という言葉が聞かれ, 亡くなる前日まで食事摂取が継続できた. さらに, 花のスケッチや写真撮影を楽しむことができ, 病室内は穏やかな雰囲気へと変化した. その結果, 短期間ではあったが患者と家族が穏やかに過ごす時間がもてた. 【考察】モルヒネ持続静注の開始により呼吸困難が緩和され, 食事摂取への満足感や趣味を楽しもうとする患者らしさを支えることができた. しかし, 薬物療法のみでは目標は達成できなかった. 日常生活におけるケアや家族・医療者の温かい見守りが患者の持てる力を引き出した結果であったと考える. 【まとめ】呼吸困難は緩和しにくい症状のひとつであるが, 薬物療法と非薬物療法を併用することで患者のニーズに答えていくことが可能となる. |
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ISSN: | 1343-2826 |