19. せん妄が改善したことで疼痛が顕在化し, 適切に疼痛コントロールができた肺がんの一例
症例は73歳男性. X-5年肺がんと診断され, X-2年4月左肺区域切除施行. その後, 脳転移, 多発リンパ節転移, 骨転移, 肝転移, がん性腹膜炎出現のため, X年5月上旬に化学療法施行目的で当院に入院, 1コース施行したが効果がなく, 加えて肺炎を併発した. X年5月下旬から内服の間違えが時々認められ, 日中の傾眠と夜間の睡眠障害が出現. 骨転移によると思われる疼痛があったため, フェンタニルパッチを貼付していたが, 疼痛以上に「言われたことがわからない, 忘れる」といった意識障害についての苦痛緩和を目的に, X年6月3日緩和ケアチーム及び精神科に診察依頼が出された. 見当識障害, 睡...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2009, Vol.59 (2), p.187-187 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は73歳男性. X-5年肺がんと診断され, X-2年4月左肺区域切除施行. その後, 脳転移, 多発リンパ節転移, 骨転移, 肝転移, がん性腹膜炎出現のため, X年5月上旬に化学療法施行目的で当院に入院, 1コース施行したが効果がなく, 加えて肺炎を併発した. X年5月下旬から内服の間違えが時々認められ, 日中の傾眠と夜間の睡眠障害が出現. 骨転移によると思われる疼痛があったため, フェンタニルパッチを貼付していたが, 疼痛以上に「言われたことがわからない, 忘れる」といった意識障害についての苦痛緩和を目的に, X年6月3日緩和ケアチーム及び精神科に診察依頼が出された. 見当識障害, 睡眠障害と落ちつかなさがあり, せん妄状態であったが, 血清カルシウム値(補正)が14.6mg/dlと高値であり, 感染による発熱, 多発脳転移と前頭葉を中心とした脳萎縮, 肺炎による低酸素血症など, 多要因によるせん妄であると考えられた. また, この時点では疼痛は訴えていなかった. このため, ハロペリドール, リスペリドンなどの抗精神病薬とミダゾラムを用いて, せん妄の治療を行うと同時に, カルシウム値の補正, 濃グリセリン液点滴を施行したところ, せん妄症状が徐々に軽快した. この頃から疼痛の部位をはっきり示すようになり, オピオイドの増量・変更, NSAIDSやケタミン, キシロカインといった鎮痛補助薬の投与により疼痛が緩和され, X年6月24日他院に転院した. せん妄は患者や家族にとって苦痛をもたらすのみならず, 身体症状をマスクして適切な症状緩和を妨げることがある. 本症例ではせん妄の改善が疼痛コントロールの一助となったと考えられた. |
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ISSN: | 1343-2826 |