1. 疎経活血湯エキスが奏功した胸鎖関節症, 肋間神経痛の一症例

【緒言】肋間神経痛など整形外科的な胸痛を長期間にわたり訴え, 診断や解決策に難渋する症例は日常診療でも比較的多く遭遇する. 今回, 右胸部痛を訴え胸鎖関節症と診断された症例に対し, 和漢薬を処方し改善が得られたため報告する. 【症例】68歳, 女性. 主訴は右胸部痛. X-10年頃より右胸部痛を自覚, 内科で胸部CTやPETなど行なわれるも原因不明, 整形外科にて胸鎖関節症と診断され, 鎮痛剤などの処方を受けたが痛みの程度と頻度は共に増強した. 糖尿病のかかりつけ医から当院を紹介され, 和漢診療を目的にX年4月受診した. 身長147cm, 体重44kg, 血圧116/68mmHg. 胸部:右上...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2009, Vol.59 (2), p.175-175
Hauptverfasser: 佐藤浩子, 巽武司, 小暮敏明, 岸奈治郎, 田村遵一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】肋間神経痛など整形外科的な胸痛を長期間にわたり訴え, 診断や解決策に難渋する症例は日常診療でも比較的多く遭遇する. 今回, 右胸部痛を訴え胸鎖関節症と診断された症例に対し, 和漢薬を処方し改善が得られたため報告する. 【症例】68歳, 女性. 主訴は右胸部痛. X-10年頃より右胸部痛を自覚, 内科で胸部CTやPETなど行なわれるも原因不明, 整形外科にて胸鎖関節症と診断され, 鎮痛剤などの処方を受けたが痛みの程度と頻度は共に増強した. 糖尿病のかかりつけ医から当院を紹介され, 和漢診療を目的にX年4月受診した. 身長147cm, 体重44kg, 血圧116/68mmHg. 胸部:右上位肋骨間に圧痛あり. 皮疹なし. 腹部異常所見なし. 浮腫なし. 明らかな神経所見なし. 血液, 生化学検査などで異常なし. 胸鎖関節症と肋間神経痛と診断した. 舌候は淡白色で舌下静脈怒張あり. 脈候は浮沈間, 渋. 腹候は腹力軟, 両側の胸脇苦満あり, 小腹不仁を認めた. 舌下静脈の怒張の所見より痂血による痛みを考え, 疎経活血湯エキス7.5gを処方した. 2週間後, 痛みは半減し, NSAIDSの使用は2週間で1回のみと激減した. 4週間後, 症状はほぼ改善したが, 一方で足の冷え, 鼠径部の痛み, 頻尿を訴えたため午車腎気丸エキス7.5gに変更したところ, その2週間後胸部痛が再燃した. このため, 疎経活血湯エキス7.5gを再度処方した, 【結語】今回, 疎経活血湯エキスにより痛みがほぼ消失した右胸部痛の症例を経験した. 肋間神経痛は日常診療でも多く遭遇する診断であるが, このような症例も漢方薬の良い適応となる可能性がある.
ISSN:1343-2826