1. 柴苓湯による薬剤性肺障害の一例

75歳男性. 来院3か月前に経尿道的前立腺切除術を施行後, 尿道狭窄があり, 1ヵ月半前から排尿困難に対し外来にて柴苓湯が処方されていた. 3日前より鼻汁, 咽頭痛, 上気道症状および38.7℃の発熱がみられ, 一度解熱したが当日朝より乾性咳と労作時呼吸困難出現したため当院救急外来を受診した. 入院時胸部レントゲンには両側上肺野優位に浸潤影を, 胸部CTには両側びまん性のすりガラス影を認め, 10L/min O2投与下でPaCO2 28.9torr, PaO2 29.9torrとI型呼吸不全であった. 柴苓湯による薬剤性肺炎を疑い, 直ちに内服を中止の上, ステロイドパルス療法(メチルプレドニ...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2008, Vol.58 (4), p.415-415
Hauptverfasser: 井上千春, 増渕健, 石塚隆雄, 梅枝愛郎, 飯塚邦彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:75歳男性. 来院3か月前に経尿道的前立腺切除術を施行後, 尿道狭窄があり, 1ヵ月半前から排尿困難に対し外来にて柴苓湯が処方されていた. 3日前より鼻汁, 咽頭痛, 上気道症状および38.7℃の発熱がみられ, 一度解熱したが当日朝より乾性咳と労作時呼吸困難出現したため当院救急外来を受診した. 入院時胸部レントゲンには両側上肺野優位に浸潤影を, 胸部CTには両側びまん性のすりガラス影を認め, 10L/min O2投与下でPaCO2 28.9torr, PaO2 29.9torrとI型呼吸不全であった. 柴苓湯による薬剤性肺炎を疑い, 直ちに内服を中止の上, ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日 3日div), 引き続きプレドニゾロン(60mg/日)を経口投与した. 喀痰が殆どないことから呼吸管理はNPPV(BiPAP Vision)を選択したところ院内肺炎を惹起することなく順調にステロイドを漸減できた. 26日目に20mg/日にて退院し, 後日施行したリンパ球幼弱化反応は柴苓湯に対し陽性であった(S.I.285%). 間質性肺炎の急性増悪で汎用されるパルス療法は免疫不全状態を惹起させると考えから致死的VAP回避目的でNPPVを推奨する意見がある. 本症例の様な喀痰喀出不全のないDrug-induced ALI/ARDSはNPPVの良い適応と考えられる.
ISSN:1343-2826