2. 左TKA後に同側大腿骨頸部脆弱性骨折を合併した関節リウマチの1例

左人工膝関節置換術(以下TKA)を施行後, 同側大腿骨頸部脆弱性骨折を来たした関節リウマチの症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は65歳, 女性. 主訴は左股関節痛である. Stage III, Class 3. 既往歴は重症筋無力症, 甲状腺機能亢進症である(当院神経内科にて加療中である). 平成7年, 関節リウマチを発症し, プレドニゾロン, ブシラミンによる内服加療を開始した(重症筋無力症にてタクロリムスも内服されていた). 平成18年9月当科にて右人工膝関節置換術を施行. 次いで平成19年2月に左人工膝関節置換術を施行した. 同年5月に左臀部痛が出現した. Xp上左...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2008, Vol.58 (3), p.337-337
Hauptverfasser: 一ノ瀬剛, 田鹿毅, 岡邨興一, 小林勉, 高岸憲二, 清水雅樹, 畑山和久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:左人工膝関節置換術(以下TKA)を施行後, 同側大腿骨頸部脆弱性骨折を来たした関節リウマチの症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は65歳, 女性. 主訴は左股関節痛である. Stage III, Class 3. 既往歴は重症筋無力症, 甲状腺機能亢進症である(当院神経内科にて加療中である). 平成7年, 関節リウマチを発症し, プレドニゾロン, ブシラミンによる内服加療を開始した(重症筋無力症にてタクロリムスも内服されていた). 平成18年9月当科にて右人工膝関節置換術を施行. 次いで平成19年2月に左人工膝関節置換術を施行した. 同年5月に左臀部痛が出現した. Xp上左恥骨上下枝陳旧性骨折が認められた. 血液検査, 画像検査では腫瘍性病変の関与は否定的であった. その後8月には左股関節痛が出現したため左大腿骨頸部脆弱性骨折を疑いMRIを施行したが明らかな骨傷は認められなかった. このため経過観察とした. 左股関節痛は継続したため再度9月にXp検査を施行したところ左大腿骨頸部内側骨折を認めた. このため同年10月に左股関節人工骨頭置換術を施行した. 関節リウマチに合併する脆弱性骨折の好発部位は脊椎を除けぼ骨盤, 特に恥骨が最多との報告がある. この機序は, 関節リウマチ, ステロイド由来の続発性骨粗鬆症を基盤とし, 内転筋群とハムストリングの拮抗作用や片脚荷重時の骨盤変形等が考えられている. また, TKA後に大腿骨頸部脆弱性骨折を来たした関節リウマチ患者に関する報告もある. その原因としては術前術後の活動性の変化, 脊椎‐下枝アライメントの変化が考えられている. 本症例は, ステロイド性骨粗鬆症による骨脆弱化, 恥骨脆弱性骨折の既往による骨盤輪の破綻, TKA加療後におけるADLの向上に伴う下肢への負担, 加療前後における下肢アライメントの変化等により大腿骨頸部脆弱性骨折を生じたと考えられる.
ISSN:1343-2826