5. 延年半夏湯が奏功した線維筋痛症の一症例
【緒言】近年, 線維筋痛症の臨床像が広く知られるようになってきた. 一方で, 同症に関する治療はまだ確立されていない. 今回, ADLを著しく制限した線維筋痛症に対し和漢薬を処方し, 痛みの軽減とADLの改善の得られた症例を経験したので報告する. 【症例】42歳, 女性. 主訴は背部痛. X-6年頃より背部痛を自覚, 整形外科にて頸椎症と診断され, 鎮痛剤などの処方を受けたが軽快せず. 平成X年9月, 背部痛のため起き上がるのも大変となり, 休職. 易疲労感, 微熱も伴い, 内科受診をすすめられ, X年10月当科を受診した. 身長155cm, 体重43kg. 血圧107/66mmHg. 胸腹部...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2008, Vol.58 (2), p.258-258 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【緒言】近年, 線維筋痛症の臨床像が広く知られるようになってきた. 一方で, 同症に関する治療はまだ確立されていない. 今回, ADLを著しく制限した線維筋痛症に対し和漢薬を処方し, 痛みの軽減とADLの改善の得られた症例を経験したので報告する. 【症例】42歳, 女性. 主訴は背部痛. X-6年頃より背部痛を自覚, 整形外科にて頸椎症と診断され, 鎮痛剤などの処方を受けたが軽快せず. 平成X年9月, 背部痛のため起き上がるのも大変となり, 休職. 易疲労感, 微熱も伴い, 内科受診をすすめられ, X年10月当科を受診した. 身長155cm, 体重43kg. 血圧107/66mmHg. 胸腹部異常所見なし. 浮腫なし. 頸椎MRIで神経圧迫所見なし. 血液, 生化学, 胸部レントゲンなどで異常なし. 舌下は紫色で湿った白苔あり. 脈候は浮沈間, 虚. 腹候は腹力軟, 心下痞硬あり, 腹直筋攣急, 小腹急結を認めた. 四肢に冷えあり. 米国リウマチ学会の線維筋痛症の分類基準から, 線維筋痛症と診断した. SSRIや解熱鎮痛剤で痛みの改善が得られず, 漢方治療を希望された. まず於血による痛みを考え桂枝茯苓丸エキス7.5g, 疎経活血湯エキス7.5gを合法で処方したが, 痛みは軽減しなかった. 経過中, 冷えの症状から呉茱萸湯エキス7.5gに変更したが, 痛みの改善は得られなかった. X+1年8月, 延年半夏湯を煎じで処方した. 2ヵ月後, 痛みは7/10に軽減した. 6ヵ月後, 痛みは6/10に軽減した. 易疲労性が改善しないため, 補中益気湯エキスを兼用したところ, 身の回りのことはできるようになった. 8ヵ月後, 仕事に復帰したが痛みは自制内でおさまっている. 【結語】今回, 延年半夏湯により痛みが軽減した線維筋痛症の症例を経験した. 線維筋痛症は, 確立された治療法がないのが現状であるが, 症例によっては和漢薬の良い適応となる可能性がある. |
---|---|
ISSN: | 1343-2826 |