12. 自己決定が難しい舌がん患者の栄養法に関する決定過程
【はじめに】臨床において本人による意志決定が難しい場面は多く, 医療者が倫理的ジレンマに陥る場面も少なくない. 今回は自己決定が難しい患者の栄養法に関する協議過程を倫理的側面から振り返り, ここに報告する. 【研究目的】栄養法に関する協議過程を倫理的側面から振り返り検討する. 【事例紹介】A氏 舌がん C5転移 四肢麻痺 知的な障害があり発語は1~2語文, 理解力は5歳程度 キーパーソン兄 入院時は流動食を数口程度摂取しているのみ 「点滴をすることを嫌がっていた」と兄より情報あり 【援助経過と結果】嚥下機能障害(頸椎前, 咽頭後方に腫瘍あり, 咽頭蓋の働きや嚥下機能を障害)あり, 食事が充分に...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2008, Vol.58 (2), p.247-248 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】臨床において本人による意志決定が難しい場面は多く, 医療者が倫理的ジレンマに陥る場面も少なくない. 今回は自己決定が難しい患者の栄養法に関する協議過程を倫理的側面から振り返り, ここに報告する. 【研究目的】栄養法に関する協議過程を倫理的側面から振り返り検討する. 【事例紹介】A氏 舌がん C5転移 四肢麻痺 知的な障害があり発語は1~2語文, 理解力は5歳程度 キーパーソン兄 入院時は流動食を数口程度摂取しているのみ 「点滴をすることを嫌がっていた」と兄より情報あり 【援助経過と結果】嚥下機能障害(頸椎前, 咽頭後方に腫瘍あり, 咽頭蓋の働きや嚥下機能を障害)あり, 食事が充分に取れていなかった. 入院して数日経過しても状況は変わらずカンファレンスを行った. (1)入院6日目 合同カンファレンス:経口摂取のためのケア・経口摂取以外の栄養法の適否・本人の意思を確認する方法について. (2)入院8日目 臨時カンファレンス:胃瘻造設は延命処置かQOLの改善か. (3)入院11日目 看護カンファレンス:兄に胃瘻造設の情報提供をする時期. (4)入院11日目 兄, 主治医, 看護師との面談:病状説明と胃瘻造設についての情報提供. (5)入院11日目 兄と看護師の面談:兄の意志決定への支援. ※その後, 胃瘻造設は行わないことに決定. 【考察】(1)治療やケアの方針決定は当事者である患者・家族と医療者の共同決定であることが原則である. 同時に医療者がチームで, 行う治療・ケアが患者家族にどのような影響をもたらすか話し合うことも必要である. (2)A氏に代わって兄の意志決定過程への参加が必要だが, そのことが兄に負担や苦悩をもたらすのではないかという懸念もあった. (3)医療者1人1人が抱くジレンマを顕在化し, 状況の変化に合わせて他職間のカンファレンスを行うことは重要である. |
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ISSN: | 1343-2826 |