3. 爪部Bowen病におけるhuman papillomavirus感染の検討
爪部Bowen病はまれでありhuman papillomavirus(HPV)との関連を検討した報告は少ない. 当科で経験した爪部Bowen病5例のウイルス学的, 組織学的, 臨床的検討を行った. 切除標本からDNAを抽出し, L1領域のコンセンサスプライマーでPCRを行った. 5例中3例でバンドが検出された. 増幅した250塩基対のDNAをクローニングしシークエンスを確認したところ, ハイリスク型HPVに属するHPV56が検出された. 2例にはsilent point mutationがあり, 残りの1例はHPV56のconsensus sequenceと同一であった. さらにHPV56E6...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2008, Vol.58 (1), p.102-102 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 爪部Bowen病はまれでありhuman papillomavirus(HPV)との関連を検討した報告は少ない. 当科で経験した爪部Bowen病5例のウイルス学的, 組織学的, 臨床的検討を行った. 切除標本からDNAを抽出し, L1領域のコンセンサスプライマーでPCRを行った. 5例中3例でバンドが検出された. 増幅した250塩基対のDNAをクローニングしシークエンスを確認したところ, ハイリスク型HPVに属するHPV56が検出された. 2例にはsilent point mutationがあり, 残りの1例はHPV56のconsensus sequenceと同一であった. さらにHPV56E6領域の特異的なプライマーを用いてPCRを行い, 配列を確認したところ同じ3例でHPV56が検出された. Silent point mutationを認めた2例と残りの1例は, E6領域の配列比較により, 別のHPV56variantグループに属し, またこの2つのグループは系統樹では比較的遠いグループに分類されることが分かった. HPV DNAの組織学的局在についてはin situ hybridizationで検討し, ウイルスDNAをケラチノサイトの核内で検出した. HPV56陽性の3例とも爪甲色素線条を呈しており, 爪母におけるHPV56感染を示唆していた. また, HPV56陰性の2例は爪甲隆起と爪囲の潰瘍を呈しており. それぞれ爪床, 爪郭の病変と思われた. ウイルス学的な系統樹解析により比較的遠いHPV56 variantグループに分類される2グループのHPV56がいずれも爪甲色素線条という共通の臨床像を有する病変を呈したことから, HPV56は爪母上皮に感染して発癌性を現すウイルスである可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1343-2826 |