2. 内視鏡的粘膜切除術を施行した表在型食道小細胞癌の一例

「症例」75歳, 男性. 「現病歴」平成18年8月24日頃より飲酒しては嘔吐をするということを繰り返しており, 8月28日近医入院. 貧血, CEAの上昇がみられたためGIF施行したところ, 切歯より37cmの下部食道に径1cm程度, ルゴール不染の隆起性病変 (0'-IIa+IIb)が認められ, 生検にてGroup V, small cell carcinomaであった. 胸部CT上, 胸部に異常所見は認められず, 9月20日, 精査目的に当院当科紹介受診となった. EUS上粘膜下浸潤は疑われたが, 筋層浸潤は認めないと判断し, 深達度診断と治療をかねて10月17日EMR目的に当科...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2007, Vol.57 (2), p.207-207
Hauptverfasser: 今井航平, 富澤琢, 前田正毅, 河村修, 森昌朋, 神谷誠, 下山康之, 草野元康, 北花直樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」75歳, 男性. 「現病歴」平成18年8月24日頃より飲酒しては嘔吐をするということを繰り返しており, 8月28日近医入院. 貧血, CEAの上昇がみられたためGIF施行したところ, 切歯より37cmの下部食道に径1cm程度, ルゴール不染の隆起性病変 (0'-IIa+IIb)が認められ, 生検にてGroup V, small cell carcinomaであった. 胸部CT上, 胸部に異常所見は認められず, 9月20日, 精査目的に当院当科紹介受診となった. EUS上粘膜下浸潤は疑われたが, 筋層浸潤は認めないと判断し, 深達度診断と治療をかねて10月17日EMR目的に当科入院となった. 「経過」EMRを施行した結果, small cell carcinoma, sm, lyO, vOであった. アルコール性肝硬変による汎血球減少と肝機能障害を認めたため化学療法は行わなかった. EMR施行後3ヶ月現在再発・転移を認めていない. 「結語」食道原発の小細胞癌は, 食道原発悪性腫瘍の1%前後と珍しく, 有効な治療法はいまだ確立していない. 悪性度が高く, 予後は極めて不良で, 早期よりリンパ節, 遠隔転移を来たし, 発見時には進行期であることが多い(表在癌の頻度2.4%)ために化学療法(+放射線療法)が行われる例が多い. 本症例は, リンパ節・血行性転移を認めず, 粘膜下層までに限局する表在型食道原発小細胞癌であったため内視鏡治療が施行できた大変珍しい症例であった. しかし, 予後が極めて不良でかつ合併症により追加治療できなかったため今後慎重な経過観察が望まれる.
ISSN:1343-2826