16.Nonalcoholic steatohepatitis(NASH)に合併した原発性肝癌9症例の臨床病理学的検討
【目的】NASHの病態解明と疾患に対する認知度の向上と共に肝癌合併NASHの報告例は増えてきた. 今回我々はNASHに合併した原発性肝癌症例の臨床病理像について検討した. 【対象】2000年1月から2005年7月の間に当科および当科関連施設にて経験した原発性肝癌671症例中, 非B非C非AIH非PBC非アルコール性肝癌は34症例であった. このうち病理組織が得られ, 背景肝がNASHに合致する9例を対象とした. 【結果】男性6例女性3例. 平均年齢65歳(45~82歳). BMI平均は28.3(24.3~32.2). 糖尿病合併症例は7例, 高脂血症合併症例は5例, 高血圧合併症例は4例であっ...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2007, Vol.57 (1), p.121-121 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】NASHの病態解明と疾患に対する認知度の向上と共に肝癌合併NASHの報告例は増えてきた. 今回我々はNASHに合併した原発性肝癌症例の臨床病理像について検討した. 【対象】2000年1月から2005年7月の間に当科および当科関連施設にて経験した原発性肝癌671症例中, 非B非C非AIH非PBC非アルコール性肝癌は34症例であった. このうち病理組織が得られ, 背景肝がNASHに合致する9例を対象とした. 【結果】男性6例女性3例. 平均年齢65歳(45~82歳). BMI平均は28.3(24.3~32.2). 糖尿病合併症例は7例, 高脂血症合併症例は5例, 高血圧合併症例は4例であった. HOMA-IRは平均11.2, 中央値4.47と胆管細胞癌合併症例1例(1.76)とを除いては全例で高値(3.5~36.2)を示した. 生化学的所見(全て中央値(範囲)で示す)はGOT66.5IU/リットル(18~87), GPT40IU/リットル(22~88), γ-GTP243IU/リットル(29~445), Ferritin42.8ng/ml(35.5~217), 腫瘍マーカーはAFP193ng/ml(3~1195), PIVKA-II50AU/ml(16~720). 背景肝は慢性肝炎4例, 肝硬変5例(Child-Pugh分類gradeA 4例, gradeB 1例)であった. 原発性肝癌の組織型は肝細胞癌8例(うち高分化癌2例, 中分化癌4例, 低分化癌1例, 組織型不明1例), 胆管細胞癌1例であった. 単発性が6例, 多発性が3例であり, 最大腫瘍径の中央値17mm(15~70)であった. 肉眼的進行程度StageI 2例, StageII 4例, StageIII 1例, StageIV 1例であった. 治療法としてはラジオ波1例, TAE 1例, 外科的切除5例, TAI 1例(胆管細胞癌症例), 未治療1例であった. 外科的切除症例の術後観察期間の中央値は21ヶ月(11ヶ月~24ヶ月)であり, これまでのところ再発を認めていない. 【考察】今回我々は病理組織像が得られ, 背景肝がNASHと診断された原発性肝癌症例について検討した. 肝癌診断時において大部分の症例でインスリン抵抗性と良好な肝予備能を示した. 9例中5例で外科的切除が施行されており, まだ観察期間は短いが, 何れもこれまでのところ再発を認めていない. またラジオ波が施行された1症例においてもこれまでのところ再発を認めていない. NASHに合併した肝癌と診断された外科的切除症例, ラジオ波症例の予後は比較的良好と考えられた. しかし, これらはStageI, IIと比較的早期の症例が多く, 進行した非B非C肝癌の多くの症例では背景肝の病理組織が得られていないため, NASHの進行肝癌症例を診断できていない可能性が示唆された. 今後, NASH症例の追跡調査とともに, 非B非C進行肝癌の背景肝の積極的な病理組織学的診断が必要と考えられた. |
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ISSN: | 1343-2826 |