9. 家族と過ごしたいという希望をもつ患者への終末期におけるかかわり

終末期においては患者, 家族を含めたケアが重要である. 今回の事例では家族の希望で本人に告知が行われていなかった. しかし, 患者は症状の緩和により小さな希望を持ちながらも, 根本的な回復が困難である事を, 日々悪化していく病状から徐々に悟っていた. そのような過程で「家族と過ごしたい」という希望を持つ患者へのかかわりから, 患者の希望に添う事の大切さ, 家族背景に応じたケアについて学んだので報告する. 【事例紹介】患者:36歳女性, 病名:胃癌癌性腹膜炎. 入院I期:子供の面倒をみたいという希望を口にしていたため, 嘔気, 嘔吐, 腹痛などの症状をコントロールし外出へ. II期:小腸瘻造設....

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2006, Vol.56 (1), p.58-58
Hauptverfasser: 野口亜希子, 高久しのぶ, 黒澤千恵, 深沢いく子, 神坂幸次, 高橋佳子, 高橋育
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:終末期においては患者, 家族を含めたケアが重要である. 今回の事例では家族の希望で本人に告知が行われていなかった. しかし, 患者は症状の緩和により小さな希望を持ちながらも, 根本的な回復が困難である事を, 日々悪化していく病状から徐々に悟っていた. そのような過程で「家族と過ごしたい」という希望を持つ患者へのかかわりから, 患者の希望に添う事の大切さ, 家族背景に応じたケアについて学んだので報告する. 【事例紹介】患者:36歳女性, 病名:胃癌癌性腹膜炎. 入院I期:子供の面倒をみたいという希望を口にしていたため, 嘔気, 嘔吐, 腹痛などの症状をコントロールし外出へ. II期:小腸瘻造設. 腹水貯留あり腹水濃縮還元を施行. 少量の食事摂取も可能となり外出へ. III期:全身状態悪化し病室で家族と過ごす. 【看護介入】入院I期~II期 1. 急性期の外科病棟という慌しい環境であったため, 少しでも家族とのゆとりある時間が過ごせるよう環境へ配慮し, 個室を準備した. 2. 嘔気や疼痛などの苦痛を訴えているが, 症状が軽減すれば子供の面倒をみたいと望んでいた. 自宅で家族との時間が過ごせるよう, 緩和ケアチームと共に症状の軽減を図った. 入院III期1. 全身状態の悪化に伴いセデーションも考慮されたが, 本人, 家族の希望に添ったセデーションとし, 家族と会話ができるよう配慮した. 【考察】患者, 家族の言葉に耳を傾け, 本人の希望などを具体化した. そこから得た情報を医療者が共有し, 本人の意向に添えるよう働きかける事で, 外出し自宅で子供と過ごすまでに至った. 医療者が一丸となって希望に応えようとした事が大きな力を生み, 状態の変化に応じながら「家族と過ごす」という目標に近づく事ができた.
ISSN:1343-2826