3.両側高度感音難聴を合併した先天性サイトメガロウィルス感染症児7例の聴覚活用
【はじめに】先天性CMV感染症児では, 症候性, 無症候性ともに感音難聴の合併頻度が比較的高く, 重症化が危惧されている. また, 先天性CMV感染症児では, 難聴の他に精神発達遅滞の合併も多く, 従来の難聴児に対する難聴治療や療育指導だけで良いのかどうか疑問である. 今回我々は, 両側性高度感音難聴を合併した先天性CMV感染症児7例(症候性4例, 無症候性3例)を経験したので, 個々の症例ごとに難聴治療, 療育指導による言語発達の有無について言及する. 【対象の内訳】対象は, 平成7年10月~平成16年12月の間に, 群馬大学医学部付属病院耳鼻咽喉科小児難聴外来を受診し3年以上経過観察しえた...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2005, Vol.55 (1), p.62-62 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】先天性CMV感染症児では, 症候性, 無症候性ともに感音難聴の合併頻度が比較的高く, 重症化が危惧されている. また, 先天性CMV感染症児では, 難聴の他に精神発達遅滞の合併も多く, 従来の難聴児に対する難聴治療や療育指導だけで良いのかどうか疑問である. 今回我々は, 両側性高度感音難聴を合併した先天性CMV感染症児7例(症候性4例, 無症候性3例)を経験したので, 個々の症例ごとに難聴治療, 療育指導による言語発達の有無について言及する. 【対象の内訳】対象は, 平成7年10月~平成16年12月の間に, 群馬大学医学部付属病院耳鼻咽喉科小児難聴外来を受診し3年以上経過観察しえた先天性CMV感染症児7例(症候性4例, 無症候性3例)である. 症例の現在の年齢分布は, 3歳~9歳で, いずれも両耳の聴力が, 90dB HL以上の高度感音難聴である. 症例の言語発達の評価には, 津守稲毛乳幼児精神発達テストと国立リハ式〈S-S法〉言語発達遅滞検査を用い, 療育指導前後で比較した(可能な症例では, 新版K式を用いた), 【経過と結果】精神運動発達の遅れが著しい2症例では, 両耳へ高出力補聴器の装着による音の認知と情緒の安定をはかることを中心とした. 精神運動発達の遅れが中等度であった症例3, 4に対しては, 両耳へ高出力耳掛け型補聴器を装着させ, 症例に応じた身振り(症例3は, マカトン文字を, 症例4は指文字)を用いて言語指導を行い, 症例3では, 3歳となる現在でアイコンタクトが長時間可能となり, 命令に対する理解力が見られるようになった. 症例4では, 3語連鎖の発語, 理解が可能となった. 精神運動発達の遅れがない2症例(症例6, 7)では, 補聴器や人工内耳による聴覚活用が期待できると考えられた. 症例6では, 高出力耳掛け型補聴器の装着と聴覚口話法を中心に言語指導を行った. その結果, 指導開始前では, 生活年齢2歳8ヶ月に対し, 音声受診の段階が1歳相当であったが, 指導1年半後は, 2語連鎖の理解及び表現が可能となった. 症例7では, 両耳の難聴の程度が最高度で補聴効果が期待できず, 3歳6ヶ月に右耳へ人工内耳埋め込み術を施行した. 埋め込み前の音声受診の段階は, 1歳以下で評価不能であったのに対し, 埋め込み1年半後には, 2語連鎖の理解及び表現が可能となった. |
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ISSN: | 1343-2826 |