12.尺側手根屈筋尺骨頭起始部を解離し,尺骨神経皮下前方移動術を行った遅発性尺骨神経麻痺の一例
【はじめに】上腕骨外顆骨折偽関節後の外反肘に伴う遅発性尺骨神経麻痺に対する手術としては, 尺骨神経筋層下前方移動術が選択されることが多いが, 決して低侵襲ではなく手技的にも容易とは言えない. 今回われわれは, 尺側手根屈筋(以下FCU)尺骨頭起始部を解離し尺骨神経前方移動術を行った遅発性尺骨神経麻痺の一例を経験したので報告する. 【症例】47歳男性 【既往歴現病歴】小児期に左肘関節の骨折を起こしたことがある. H15年9頃より, 左手第4, 5指のしびれが出現しH15年9月9日当科紹介初診となる. 【現症】左外反肘変形が存在し, 左手尺骨神経領域の知覚障害と骨間筋萎縮を認めた. 単純X-Pでは...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2004-11, Vol.54 (4), p.334-335 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】上腕骨外顆骨折偽関節後の外反肘に伴う遅発性尺骨神経麻痺に対する手術としては, 尺骨神経筋層下前方移動術が選択されることが多いが, 決して低侵襲ではなく手技的にも容易とは言えない. 今回われわれは, 尺側手根屈筋(以下FCU)尺骨頭起始部を解離し尺骨神経前方移動術を行った遅発性尺骨神経麻痺の一例を経験したので報告する. 【症例】47歳男性 【既往歴現病歴】小児期に左肘関節の骨折を起こしたことがある. H15年9頃より, 左手第4, 5指のしびれが出現しH15年9月9日当科紹介初診となる. 【現症】左外反肘変形が存在し, 左手尺骨神経領域の知覚障害と骨間筋萎縮を認めた. 単純X-Pでは上腕骨外顆骨折後偽関節の所見であり, 電気生理学的検査で肘部にてMcv低下を認めた. 以上より上腕骨外顆骨折偽関節後の外反肘による遅発性尺骨神経麻痺と診断し, H16年2月13日手術を行った. 【手術】尺骨神経前方移動術を施行. 尺骨神経を中枢末梢十分に剥離し前方に移動するが, このときFCU尺骨頭筋枝が前方移動の妨げとなる. そこでFCU尺骨頭の尺骨起始部を解離することにより皮下前方移動術を行った. 【術後成績】手術翌日よりしびれが低下し, 術後3日目にはしびれの消失が得られた. 術後経過がまだ短く今後もフォローを要するが患者の満足度は高い. 【考察結語】外反射による遅発性尺骨神経麻痺に対する神経前方移動術としては, 皮下前方移動術と筋層下前方移動術があるが, どちらの術式を選択するかは, 明確な基準はなく術者の裁量にゆだねられているのが現状と思われる. 皮下前方移動術のほうが手技的にも容易で手術侵襲も少ないと思われるが, FCU尺骨頭筋枝にかかる緊張が充分な前方移動を妨げる要因となる. これに対し筋枝剥離を行う手段もあるが, 神経に対する侵襲が危惧されるため, 筋枝の緊張を和らげる方法として筋解離を行った. 筋解離により尺骨神経の前方移動性が増し, 一例ではあるが良好な結果が得られた. |
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ISSN: | 1343-2826 |