6.長期経過をとった分類不能の孤発性脊髄小脳変性症の一例
【症例】62歳男性 【臨床経過】16歳頃から書字障害, ミオクローヌスが出現. 30歳頃より体幹失調, 44歳頃よりてんかん発作が出現し, Ramsay-Hunt症候群と診断された. 薬剤投与により症状が軽減しコントロールされていた. 57歳ころより嚥下障害が出現, また, 体幹失調, 歩行障害の悪化により, 独歩不能となった. 60歳, 誤嚥性肺炎を併発した. 61歳, カンジダ性敗血症, DIC, 腎機能不全を来し, 62歳, 全経過46年で死亡した. 【神経病理学的所見】脳重量は1,220g. 肉眼的に小脳と延髄に著明な萎縮がみられたが, 橋, および小脳脚に萎縮は認められなかった. 割...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2004-08, Vol.54 (3), p.266-267 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【症例】62歳男性 【臨床経過】16歳頃から書字障害, ミオクローヌスが出現. 30歳頃より体幹失調, 44歳頃よりてんかん発作が出現し, Ramsay-Hunt症候群と診断された. 薬剤投与により症状が軽減しコントロールされていた. 57歳ころより嚥下障害が出現, また, 体幹失調, 歩行障害の悪化により, 独歩不能となった. 60歳, 誤嚥性肺炎を併発した. 61歳, カンジダ性敗血症, DIC, 腎機能不全を来し, 62歳, 全経過46年で死亡した. 【神経病理学的所見】脳重量は1,220g. 肉眼的に小脳と延髄に著明な萎縮がみられたが, 橋, および小脳脚に萎縮は認められなかった. 割面では, 両側基底核に多発性の出血と, 黒質の退色がみられたが, 赤核は比較的保たれていた. 病理組織学的に, 小脳皮質と延髄オリーブ核に高度の変性があり, Purkinje細胞の高度の脱落と顆粒細胞の中等度から高度の脱落, オリーブ核には神経細胞の高度脱落とgliosisが認められた. 歯状核の神経細胞は軽度脱落し, gliosisを伴っていたが, grumose変性はみられなかった. 橋核, 上小脳脚, 赤核, ルイ体はほぼ保たれていた. 黒質と視床の正中中心核には神経細胞の中等度脱落とgliosisが認められた. また, 脳全体にわたってカンジダ感染に伴う肉芽腫が多発しており, 特に基底核には炎症性病変が高度で, 軽度の神経細胞脱落と明瞭なastrocytosisが認められた. 大脳皮質および白質は保たれていた. 脊髄は扁平化し, 後索, 後根, 脊髄小脳路, 薄束核, Clarke柱に変性が認められた. 【まとめ】本例は, 病理組織学にPurkinje細胞と顆粒細胞の脱落など小脳皮質病変およびオリーブ核神経細胞の脱落に加え, 薄束核とClarke柱神経細胞の変性, 後索, 後根, 脊髄小脳路の有髄神経線維の変性など脊髄病変を認めた. 従来報告されている脊髄小脳変性症の病型に一致せず, いずれの病型に分類すべきかが問題となった. 【討論】 巻渕隆夫(国立療養所犀潟病院臨床研究部病理):Apratoxin異常を伴なうEOAHに似るが知覚神経(脊髄後根)の障害が軽度な点が異なる. 小脳皮質の変性や, ectopic neuronが見られるので発達障害も加味されているかも知れない. |
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ISSN: | 1343-2826 |