36.がん患者における抑うつ 不安症状発現に関連する神経内分泌学的 脳画像学的所見について
がん患者が, がん発見から治療による寛解期, 再発, 終末期を通して, 不安, うつなど様々な精神症状を呈してくることは周知であるが, がん罹患という事実に直面した際の当然の心理的反応であり, やがて悲嘆反応のプロセスを経て本人に受容されていくというのが多くの医療者の考えであった. しかしがん患者のうつ症状はそのQOLや予後にも悪影響を与えている可能性が強いことから, がん患者の精神症状の原因解明と共に, がん患者やその家族に対する積極的な精神科的援助の必要性は高いものと考える. 抑うつ症状を主体とする大うつ病では, 局所脳内糖代謝が健常者に比べ有意に変化していると共に, 視床下部一下垂体一副...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2002, Vol.52 (5), p.439-439 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | がん患者が, がん発見から治療による寛解期, 再発, 終末期を通して, 不安, うつなど様々な精神症状を呈してくることは周知であるが, がん罹患という事実に直面した際の当然の心理的反応であり, やがて悲嘆反応のプロセスを経て本人に受容されていくというのが多くの医療者の考えであった. しかしがん患者のうつ症状はそのQOLや予後にも悪影響を与えている可能性が強いことから, がん患者の精神症状の原因解明と共に, がん患者やその家族に対する積極的な精神科的援助の必要性は高いものと考える. 抑うつ症状を主体とする大うつ病では, 局所脳内糖代謝が健常者に比べ有意に変化していると共に, 視床下部一下垂体一副腎皮質(HPA系)の機能亢進が知られているが, 今回大うつ病症状を呈するがん患者における神経内分泌学的機能および局所脳糖代謝の検討を実施し, 対照として適応障害を呈したがん患者と比較検討を行った. その結果, 大うつ病症状を呈したがん患者では8例中7例(87.5%)がDEX/CRH負荷試験のよる非抑制者の比率が, 不安, 適応障害を呈するがん患者のでは5例中1例(20%)に比べ高率であった. またFDG PET検査では, 大うつ病症状を呈したがん患者では, 左前頭回で, 患者群で有意に糖代謝の低下を示し, 右海馬傍回で有意な増加を示した. 一方, 不安, 適応障害を呈するがん患者では同部位において有意な変化はみられず, 大うつ病症状を呈した患者群とは明らかな差異が認められた. このことは, がん罹患による心理的反応だけでは説明できず, 内因性うつ病と類似した病態が存在する可能性があるものと考えられ, さらに精神症状発現の見られていないがん患者との比較検討を行っているので, 当日その結果も合わせ報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 |