診断に苦慮した多発性骨腫瘍の一例

症例は69歳男性. 平成10年1月腰痛を主訴に近医を受診し左腸骨に溶骨性病変を指摘され, 精査治療目的で当科に紹介された. 全身検索(画像消化管検査)にて左肋骨にも同様病変を認めたが, 他部位に明らかな腫瘤性病変は認められなかった. 腫瘍マーカーで異常値はCEA:4.0のみであり, 血清尿検査でM蛋白は検出されなかった. 原発不明の骨転移と判断し, 除痛目的で左腸骨左肋骨に放射線治療50Gyを施行し疼痛はほぼ消失した. 外来で経過観察としたが平成11年9月右胸壁痛が出現. 精査にて多発骨腫瘍を認めた. 多発病巣に順次出現する疼痛に対し鎮痛剤照射にて対症的治療を施行したが, 平成13年3月永眠さ...

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Hauptverfasser: 松本寛子, 高橋満弘, 小屋栄一, 吉田カツ江
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は69歳男性. 平成10年1月腰痛を主訴に近医を受診し左腸骨に溶骨性病変を指摘され, 精査治療目的で当科に紹介された. 全身検索(画像消化管検査)にて左肋骨にも同様病変を認めたが, 他部位に明らかな腫瘤性病変は認められなかった. 腫瘍マーカーで異常値はCEA:4.0のみであり, 血清尿検査でM蛋白は検出されなかった. 原発不明の骨転移と判断し, 除痛目的で左腸骨左肋骨に放射線治療50Gyを施行し疼痛はほぼ消失した. 外来で経過観察としたが平成11年9月右胸壁痛が出現. 精査にて多発骨腫瘍を認めた. 多発病巣に順次出現する疼痛に対し鎮痛剤照射にて対症的治療を施行したが, 平成13年3月永眠された. 病理解剖にて非分泌型多発性骨髄腫と診断された. 【結語】全多発性骨髄腫の0.3~0.5%にM蛋白が検出されない病型が存在するため, 原発腫瘍が特定できない場合には念頭におく必要があると考えられた.
ISSN:1343-2826