長期間湿疹として治療され進行をきたしたPaget病の1例

他院で長期間湿疹として治療され, 広範な皮膚浸潤及びリンパ節転移をきたしたPaget病の1例を経験したので報告する. 患者は59歳, 女性. 平成8年頃, 左乳頭発赤びらんを自覚し近医を受診したが湿疹と診断され, 長期間軟膏を使用していた. 平成12年12月, 転移を契機に別の皮膚科を受診し, 当科に紹介された. 初診時左乳頭は消失し同部に最大径7cmの広範な発赤びらんを認めた. また左乳房C領域とA領域に小さい硬結を触知した. 腋窩には小指頭大の硬いリンパ節を触知した. マンモグラフィでは左乳房C領域に腫瘤陰影, A領域に微細石灰化象を認め, 皮膚病のみでなく乳腺内にも病変を有することが示唆...

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Hauptverfasser: 松本広志, 菅又徳孝, 末益公人, 東靖宏, 黒住昌史, 井上賢一, 田部井敏夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:他院で長期間湿疹として治療され, 広範な皮膚浸潤及びリンパ節転移をきたしたPaget病の1例を経験したので報告する. 患者は59歳, 女性. 平成8年頃, 左乳頭発赤びらんを自覚し近医を受診したが湿疹と診断され, 長期間軟膏を使用していた. 平成12年12月, 転移を契機に別の皮膚科を受診し, 当科に紹介された. 初診時左乳頭は消失し同部に最大径7cmの広範な発赤びらんを認めた. また左乳房C領域とA領域に小さい硬結を触知した. 腋窩には小指頭大の硬いリンパ節を触知した. マンモグラフィでは左乳房C領域に腫瘤陰影, A領域に微細石灰化象を認め, 皮膚病のみでなく乳腺内にも病変を有することが示唆された. 皮膚生検では表皮内にPaget細胞を認めた. また一部では表皮から真皮にかけて浸潤性乳管癌に類似した癌の浸潤像を認め, 総合的にPagetoid癌と診断した. 平成13年3月5日, 胸筋温存乳房切除術を施行した. 広範な皮膚病変の他に, 割面では浸潤部と思われる小腫瘤も認めた. 病理学的所見は広範なPaget病変に加え, 乳頭直下及びC領域に硬癌を認めた. リンパ節はleve13まで転移を認めた.
ISSN:1343-2826