興味ある臨床経過を示した嚢胞内乳癌の1例

嚢胞内乳癌の発生機序としていくつかの説がある. 今回我々は原発のみならず再発巣も嚢胞内癌を呈した症例を経験したので報告する. 【症例】60歳女性. 30歳で分裂病を発症し入院中. 1992年8月7日入浴中, 看護婦により左乳房腫瘤を発見される. 8月24日当院初診. 左乳房B領域に4.5×4.0cmの波動のある腫瘤を触知した. 諸検査にて乳腺嚢胞内癌を疑われ入院となる. 血液生化学検査では異常を認めない. 10月1日術中迅速病理診断を行い, 乳頭腺管癌の診断を得たため, 乳房扇状切除, 腋窩郭清を施行した. 腫瘍は径4cm大の嚢胞でserousな内容液を含み, 内部に突出した4つの充実性腫瘤を...

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Hauptverfasser: 柳田康弘, 木村盛彦, 小井田時廣, 小川晃, 杉原志朗
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:嚢胞内乳癌の発生機序としていくつかの説がある. 今回我々は原発のみならず再発巣も嚢胞内癌を呈した症例を経験したので報告する. 【症例】60歳女性. 30歳で分裂病を発症し入院中. 1992年8月7日入浴中, 看護婦により左乳房腫瘤を発見される. 8月24日当院初診. 左乳房B領域に4.5×4.0cmの波動のある腫瘤を触知した. 諸検査にて乳腺嚢胞内癌を疑われ入院となる. 血液生化学検査では異常を認めない. 10月1日術中迅速病理診断を行い, 乳頭腺管癌の診断を得たため, 乳房扇状切除, 腋窩郭清を施行した. 腫瘍は径4cm大の嚢胞でserousな内容液を含み, 内部に突出した4つの充実性腫瘤を認め, 嚢胞内癌であったリンパ節転移を2個認め, ER陽性のため補助療法としてTAMを投与した. 【経過】乳房創に沿って2個の腫瘤が出現し, 局所再発の診断にて1994年12月1日再切除を施行した. 再度同部に1個の再発腫瘤をみとめ, 1997年6月13日再々切除を施行した. しかし右乳房再発と前胸壁再発を起こし1998年8月6日切除した. いずれの再発巣も嚢胞内乳癌の形態を示していた. 現在胸壁再発はないが, 肺転移を認め, 内分泌療法中である. 嚢胞内乳癌の発生機序について, 若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1343-2826