6. 肺原発肉腫の1例

原発性肺腫瘍のほとんどは肺癌で, 肺原発肉腫は極めて稀でありその頻度は0.7%~3.6%程度といわれている. 今回我々は肺原発脂肪肉腫の1例を経験した. 【症例】78歳男性. 【主訴】血痰. 【現病歴】平成11年3月より, 血痰が出現し, 左上葉の無気肺を指摘され, 同年4月1日精査目的にて紹介入院となった. 胸部X線・胸部CTにて, 左S3c中心に腫瘤影を認めた. そのため原発性肺癌(特に扁平上皮癌)を疑い4月7日気管支鏡を施行したところ, 左上葉支口に腫瘤を認め閉塞していた. 同腫瘤と左上下葉分岐部よりTBLBを施行し, 扁平上皮癌と診断されたため, 6月7日左肺全摘術R2a郭清を施行した...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2000, Vol.50 (3), p.329-329
Hauptverfasser: 遠井朱美, 土屋智, 渡辺覚, 武井義和, 佐藤浩二, 小林剛, 解良恭一, 斉藤龍生, 川島修, 坂田修治, 中島孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:原発性肺腫瘍のほとんどは肺癌で, 肺原発肉腫は極めて稀でありその頻度は0.7%~3.6%程度といわれている. 今回我々は肺原発脂肪肉腫の1例を経験した. 【症例】78歳男性. 【主訴】血痰. 【現病歴】平成11年3月より, 血痰が出現し, 左上葉の無気肺を指摘され, 同年4月1日精査目的にて紹介入院となった. 胸部X線・胸部CTにて, 左S3c中心に腫瘤影を認めた. そのため原発性肺癌(特に扁平上皮癌)を疑い4月7日気管支鏡を施行したところ, 左上葉支口に腫瘤を認め閉塞していた. 同腫瘤と左上下葉分岐部よりTBLBを施行し, 扁平上皮癌と診断されたため, 6月7日左肺全摘術R2a郭清を施行した. 摘出腫瘍の割面をみると, 左B3c末梢に発生した白色の腫瘍が, 気管支内を充てんするように増生し, B1+2から上葉支入口部までendobronchialにgrowthしていた. 腫瘍は気管支内に留まり, 肺実質への浸潤は認められなかった. 摘出腫瘍の病理組織像をみると, HE染色では紡錘型から多形性の異型細胞が粘液性の基質内に, 細血管中心の増生を認めた. 特殊染色ではoil red o, ビメンチンが陽性であったが, S-100陰性でその他デスミン, アクチン, ケラチン, NSEはいづれも陰性であった. 非上皮性, 脂肪染色陽性であること, その組織像などから, 脂肪肉腫と診断された. また左上下葉分岐部の扁平上皮癌は本体の腫瘍とは別の早期肺癌で, carcinoma in situであった. 脂肪肉腫は四肢, 特に大腿, 臀部等に多く, 上肢, 後腹膜にも比較的によく報告されているが, 本症例のような肺原発の脂肪肉腫は極めて稀であり報告とした.
ISSN:1343-2826