腹膜播種の診断法と腹膜転移における細胞接着の役割

「はじめに」腹腔内臓器の漿膜面に浸潤した癌細胞が腹腔内に遊離し(播種)腹膜に生着することにより成立する腹膜播種性転移は, 外科的切除の範囲を超えた癌の進展であり, 同時に治癒の望めない病期を意味する. 一般に漿膜浸潤癌では手術により肉眼的に病巣がすべて取り除かれても(治癒切除)約半数の患者は腹膜再発をきたし死亡するが, このような再発の原因は手術時にすでに存在するミクロレベルの播種細胞と考えられている. 開腹時に播種の存在を正確に診断できれば, 術後補助療法選択にも応用可能となり, 患者への恩恵は大きい. 第一外科では「ミクロレベルの播種の診断法」, さらに「腹膜転移の成立に関わる細胞生物学的...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 2000/01/01, Vol.50(1), pp.57-59
1. Verfasser: 浅尾, 高行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」腹腔内臓器の漿膜面に浸潤した癌細胞が腹腔内に遊離し(播種)腹膜に生着することにより成立する腹膜播種性転移は, 外科的切除の範囲を超えた癌の進展であり, 同時に治癒の望めない病期を意味する. 一般に漿膜浸潤癌では手術により肉眼的に病巣がすべて取り除かれても(治癒切除)約半数の患者は腹膜再発をきたし死亡するが, このような再発の原因は手術時にすでに存在するミクロレベルの播種細胞と考えられている. 開腹時に播種の存在を正確に診断できれば, 術後補助療法選択にも応用可能となり, 患者への恩恵は大きい. 第一外科では「ミクロレベルの播種の診断法」, さらに「腹膜転移の成立に関わる細胞生物学的機構の解明」を行ってきた. ここでは, 腹膜播種の診断, 転移のメカニズムの解明, そして新しい治療法へと研究の「ながれ」を紹介する. 「目に見えない腹腔内癌細胞の存在診断は可能か」腹腔内遊離癌細胞の診断法として腹腔内洗浄液中細胞診が知られているが, 陽性率が低く偽陰性率が高いことが指摘されてきた.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.50.57