25.虫垂嚢胞腺腫の2例

虫垂嚢胞腺腫は, 虫垂が無菌的に閉塞し, その末梢の虫垂粘膜が粘液産生を持続する事によって生じる. と考えられている比較的まれな疾患である. 今回我々は2例の症例を経験したので報告する. 【症例1】68歳男性. 感冒で近医を受診した際, 右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を指摘され, 精査治療目的に当科へ入院となった. 注腸造影で盲腸内側より圧排像を認め, 虫垂は造影されず, 超音波, CTにて虫垂部の嚢胞性病変を認め, 回盲部切除術を施行した. 腫瘤は単房性で5.3×3.5cm, 内容物は黄白色, 粘調性なゼラチン様物質で, 嚢胞壁に腫瘤は認めなかった. 病理組織学的に円柱上皮が腺管状, 乳頭状に増殖...

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Veröffentlicht in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 1999, Vol.49 (4), p.325-325
Hauptverfasser: 古郡大樹, 田嶋公平, 高橋稔, 福田敬宏, 阪上昌三郎, 中村茂, 澤田俊夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:虫垂嚢胞腺腫は, 虫垂が無菌的に閉塞し, その末梢の虫垂粘膜が粘液産生を持続する事によって生じる. と考えられている比較的まれな疾患である. 今回我々は2例の症例を経験したので報告する. 【症例1】68歳男性. 感冒で近医を受診した際, 右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を指摘され, 精査治療目的に当科へ入院となった. 注腸造影で盲腸内側より圧排像を認め, 虫垂は造影されず, 超音波, CTにて虫垂部の嚢胞性病変を認め, 回盲部切除術を施行した. 腫瘤は単房性で5.3×3.5cm, 内容物は黄白色, 粘調性なゼラチン様物質で, 嚢胞壁に腫瘤は認めなかった. 病理組織学的に円柱上皮が腺管状, 乳頭状に増殖し, 一部は崩壊し, 周囲に粘液の漏出が認められた. 悪性所見は認められなかった. 【症例2】52歳男性. 喉頭癌にて, 喉頭全摘術を施行. 退院後, 本人の希望で消化管の精査を施行したところ, 大腸内視鏡検査と注腸造影検査で, 盲腸と直腸に壁外性の圧迫を認めた. 腹部CT, 及びMRI検査で, 右腎上極から骨盤腔内にまで及ぶ巨大な嚢胞性腫瘤を認めた. 右下腹部に腫瘤を触知した. 自発痛, 圧痛は認めなかった. 腫瘤は単房性で, 虫垂より始まり腎臓上極に達していた. 結腸右半切除術にて腫瘤を摘出した. 大きさは20×10×8cm, 重さは650g. 内容物は, 黄白色, 強粘調のゼラチン様物質で, 嚢胞壁に腫瘤は認めなかった病理組織学的に杯細胞を含む粘液産生傾向の強い円柱上皮が乳頭状に増殖していた. 悪性所見は認めなかった.
ISSN:1343-2826