5. GDCにより治療した脳動脈瘤の1例
【症例】65歳の男性. 1981年にSAHあり他院にて左内頚前脈絡叢動脈瘤の手術を施行. 1996年12月, 左鼠径ヘルニアにて某院外科を受診, 頭部CTにて異常を指摘され当科を紹介された. 入院時, 神経学的には明らかな異常を認めず, 血液生化学的検査では肝硬変の初期状態で, 軽度の血小板減少と肝機能障害を認めた. 出血時間, 凝固時間の延長はなかった. CTscan, 3D-CT, ANGIOから左内頚動脈瘤(前回のdistal)及び右椎骨動脈瘤(large)を認めた. 内頚系の cross flowはpoorであったが, 椎骨動脈系は対側より十分なflowがみられた. 現在は無症候であり...
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Veröffentlicht in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL 1998, Vol.48 (1), p.78-79 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【症例】65歳の男性. 1981年にSAHあり他院にて左内頚前脈絡叢動脈瘤の手術を施行. 1996年12月, 左鼠径ヘルニアにて某院外科を受診, 頭部CTにて異常を指摘され当科を紹介された. 入院時, 神経学的には明らかな異常を認めず, 血液生化学的検査では肝硬変の初期状態で, 軽度の血小板減少と肝機能障害を認めた. 出血時間, 凝固時間の延長はなかった. CTscan, 3D-CT, ANGIOから左内頚動脈瘤(前回のdistal)及び右椎骨動脈瘤(large)を認めた. 内頚系の cross flowはpoorであったが, 椎骨動脈系は対側より十分なflowがみられた. 現在は無症候であり, 前回の手術で neck clipping不可能で dome clipping 及び coatingしていること, neckが比較的smallであることから直達手術は困難であり瘤内塞栓の適応と考えた. また右椎骨動脈瘤に関しては対側のVAの発達もよく, PICA等の重要な血管が関与していないことから, BTOで問題がなければ, proximal occlusionを行うこととなった. 以上の経過にて1997年4月3日, 血管内治療をおこなった. 【治療】ACTモニター下に(前値の2-3倍にコントロール)全身のヘパリン化を施行. まず guiding catheterを左内頚動脈に留置し, Fastracker-18にて瘤内造影を行った後, GDC-10 4本, GDC-18 1本にて瘤内塞栓を行った. 離脱に要した時間は1分12秒から2分26秒であった. 15分経過しても離脱できなかった1本は, 途中で通電をやめ, 回収しようとしたところ, 半分ほどFastrackerに戻った時点で切れたが, カテーテルごと回収し, 事なきを得た. 次いで, ABRモニター下に, guiding catheterを右の椎骨動脈に留置した. ここでballoonにて test occlusionを施行, さらに血圧低下負荷をかけたが, 神経症状を含め変化はみられなかった. そこで右椎骨動脈を動脈瘤のproximalにmalにてIDC-soft計5本, 及びVORTX4本にて閉塞した. 術後は24時間の全身ヘパリン化(10000単位/day)を続け, その後は1ヵ月の予定で ticlopidine 200mg/dayの内服中である. 【経過及びまとめ】術後新たな神経症状の出現はなかったが, 術後8日目の血管撮影では左内頚動脈瘤内のcoilにcompactionが生じ, わずかにneckが再現したが, 椎骨動脈系は閉塞が保たれていた. 今後十分に経過観察することとして, 4月15日, 独歩退院した. GDCを用いてのはじめての瘤内塞栓であったが, IDCに比し離脱時のstressは少ないものの, mechanical troubleの可能性もあり注意が必要と考えられた. |
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ISSN: | 1343-2826 |