救急医療の現状と問題点
日本における救急医療の発祥は昭和40年代に入ってから初めて系統的に組織化されたが, その進歩は極めて遅く一部の人達の大変な努力によって次第にその医学的あるいは社会的立場が認められてきたのである. 現在の医療体制では病態の程度により一次, 二次, 三次医療と区別しているが, 医療を受ける側ではそれを区別できないで病態の悪化を恐れ, 手遅れにならないうちに診てもらおうと来院する. しかも何が重体で, 何が重症でないかの判断が出来かねるのは当然であろう. 心肺停止状態の患者の救命率が取り沙汰されて久しいが一向に改善される気配はない. 先ず第一に現場に目撃者が居たか否か, 第二にその目撃者によって正し...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 日本における救急医療の発祥は昭和40年代に入ってから初めて系統的に組織化されたが, その進歩は極めて遅く一部の人達の大変な努力によって次第にその医学的あるいは社会的立場が認められてきたのである. 現在の医療体制では病態の程度により一次, 二次, 三次医療と区別しているが, 医療を受ける側ではそれを区別できないで病態の悪化を恐れ, 手遅れにならないうちに診てもらおうと来院する. しかも何が重体で, 何が重症でないかの判断が出来かねるのは当然であろう. 心肺停止状態の患者の救命率が取り沙汰されて久しいが一向に改善される気配はない. 先ず第一に現場に目撃者が居たか否か, 第二にその目撃者によって正しい蘇生法が行われていたか否か, 第三に搬送中に効果的な蘇生法が行われてきたか否か, 第四に搬送医療機関のマンパワーを含めてその医療レベルが問題となろう. これらのうちのどれか一つが欠けても患者は蘇生されない. 最近は救急隊は心肺停止状態の患者については三次対応としているから一般の医療機関に搬送されることは極めて稀であろう. 救急隊員についてはその資質の向上を目ざして制度を変え, 救急救命士や救急II過程制度が発足し大いにその成果が期待されているところである. |
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ISSN: | 1343-2826 |