日本の野鳥における高病原性鳥インフルエンザ発生の特徴

日本の野鳥においては過去4回,H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染があった。2004年のハシブトガラスの感染は家禽からの二次感染と考えられたが,2007年のクマタカ,2008年のオオハクチョウの感染からは野鳥の間で感染が起きていることが示唆された。このため2008年10月以降,全国的に死亡野鳥調査が実施されるようになった。その結果,2010年10月から2011年5月までの間に約5,600羽の野鳥の死体が調査され,12月から3月の間に全国17道府県において水鳥類と猛禽類の7種63個体から当該ウイルスが検出された。そのうち在来種ではないハクチョウ類3個体は飼育下個体であった。過去4回の...

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Veröffentlicht in:日本野生動物医学会誌 2012/06/29, Vol.17(2), pp.55-61
1. Verfasser: 米田, 久美子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本の野鳥においては過去4回,H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染があった。2004年のハシブトガラスの感染は家禽からの二次感染と考えられたが,2007年のクマタカ,2008年のオオハクチョウの感染からは野鳥の間で感染が起きていることが示唆された。このため2008年10月以降,全国的に死亡野鳥調査が実施されるようになった。その結果,2010年10月から2011年5月までの間に約5,600羽の野鳥の死体が調査され,12月から3月の間に全国17道府県において水鳥類と猛禽類の7種63個体から当該ウイルスが検出された。そのうち在来種ではないハクチョウ類3個体は飼育下個体であった。過去4回の感染確認事例ではいずれも,ウイルスの性状から韓国やモンゴル,中央ロシアなどの地域との関連性が推測された。また日本の死亡野鳥調査においては,ハクチョウ類とキンクロハジロが早期に感染を検出しやすい種類と考えられた。2010~2011年に野鳥の感染が認められたのは27地域あったが,5羽以上の感染が確認されたのは鳥獣保護区など5地域のみで,感染個体のうち死亡するのは一部のみではないかと考えられた。飼育下の野生鳥類が野鳥と混在する飼育環境では,感染を防ぐのは不可能であり,抜本的な管理方法の見直しが必要と考えられた。
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.17.55