鳥類における鉛中毒症
鉛中毒は,依然として,世界中の水鳥類において大きな問題となっている。今回,野外由来のハクチョウ類およびカモ類,さらに動物園で飼育されたペンギンについて臓器内の鉛含有量を測定し,一部については病理組織学的検索を行い,自然環境に及ぼす鉛の影響について考察した。福島および岐阜県で保護されたハクチョウ類合計21例,岐阜県内で捕獲されたカモ類合計100例(岐阜県と共同),動物園で飼育中に鉛中毒が疑われたペンギンの1例について,剖検を行って病理組織学的検索を行い,肝臓および腎臓(カモ類は肝臓のみ)を採取し,原子吸光光度法(標準添加法)を用いて,それぞれ鉛含有量を測定した。ハクチョウ類では,検索した21例中...
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Veröffentlicht in: | 日本野生動物医学会誌 2007, Vol.12(1), pp.41-49 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 鉛中毒は,依然として,世界中の水鳥類において大きな問題となっている。今回,野外由来のハクチョウ類およびカモ類,さらに動物園で飼育されたペンギンについて臓器内の鉛含有量を測定し,一部については病理組織学的検索を行い,自然環境に及ぼす鉛の影響について考察した。福島および岐阜県で保護されたハクチョウ類合計21例,岐阜県内で捕獲されたカモ類合計100例(岐阜県と共同),動物園で飼育中に鉛中毒が疑われたペンギンの1例について,剖検を行って病理組織学的検索を行い,肝臓および腎臓(カモ類は肝臓のみ)を採取し,原子吸光光度法(標準添加法)を用いて,それぞれ鉛含有量を測定した。ハクチョウ類では,検索した21例中13例(福島および岐阜県由来)で肝臓および腎臓に10,000ng/g以上の鉛含有量がみられ,特に腎臓で高い値(>50,000ng/g)が認められた。カモ類では,検索した100例中3例の肝臓で500ng/gを超える鉛含有量が認められた。そのうち1例には,10,000ng/g以上の高い含有量がみられた。鉛中毒が疑われたペンギンの1例では,肝臓および腎臓で,それぞれ49,800および8,530ng/gの高い鉛含有量が認められた。胃内の金属片を分析したところ,96.3%の鉛含有が認められた。組織学的には,鉛中毒の形態学的特徴とされている腎尿細管上皮における好酸性核内封入体が認められた。以上,野生水鳥では高い鉛含有量を示し鉛中毒が疑われる例が散見されることから,野外では依然として鉛中毒が散発していると推測された。その原因としては,鉛散弾やつり用の鉛の誤飲が考えられた。飼育下のペンギンにおいても鉛中毒の発生する可能性が示された。今後とも自然界における継続的な鉛を含めた有害重金属のモニターが不可欠である。 |
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ISSN: | 1342-6133 2185-744X |
DOI: | 10.5686/jjzwm.12.41 |