9.F1種子牛に発生した多趾症
「はじめに」 牛の多趾症の発生は少なく, 症例報告も少ない. 今回管内の酪農場においてF1種子牛の多趾症と遭遇したので, その概要について報告する. 症例の概要患畜は平成16年1月2日生まれのF1種雌牛であり, 左側前肢中手骨より過剰趾が発生していた. 肉眼的には一趾であったが, 触診およびレントゲン検査によってさらに一趾が確認された. 右側前肢および両後肢には異常は認められなかった. その他外貌および一般症状に異常はなかったが, 著明な心雑音が聴取された. 患肢は起立時には常に前方に伸張し, ナックル状態であった. 母牛の産歴は8産であったが, これまでの産子に外貌的にも負重歩行等についても...
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Veröffentlicht in: | 日本家畜臨床学会誌 2004, Vol.27 (2), p.74-74 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」 牛の多趾症の発生は少なく, 症例報告も少ない. 今回管内の酪農場においてF1種子牛の多趾症と遭遇したので, その概要について報告する. 症例の概要患畜は平成16年1月2日生まれのF1種雌牛であり, 左側前肢中手骨より過剰趾が発生していた. 肉眼的には一趾であったが, 触診およびレントゲン検査によってさらに一趾が確認された. 右側前肢および両後肢には異常は認められなかった. その他外貌および一般症状に異常はなかったが, 著明な心雑音が聴取された. 患肢は起立時には常に前方に伸張し, ナックル状態であった. 母牛の産歴は8産であったが, これまでの産子に外貌的にも負重歩行等についても異常はみられなかった. 通常, F1種子牛は40日齢前後で出荷される. その際の経済的価値の損失が懸念されたため, 畜主との協議の結果, 外科的に切除することとした. 供試子牛が44日齢で岩手大学付属家畜病院に搬入, 全身麻酔下で過剰趾側すなわち内側からのアプローチを経て中手骨から過剰趾を近位に向かって鈍的に剥離した. 過剰な二趾を同時に線鋸によって切断した. 皮膚縫合し, 同時にナックル矯正のため, 腕関節以下のギプス固定を行った. 術後10日目にギプスを外すまで, 発熱等の全身症状は認められず, 他の疾病も発生しなかった. 術創を含め, その後の回復は良好であったが, ナックルは改善していなかった. そのため, ギプスの一部を添え木に利用した結果, 負重は, 約1ヶ月後には正常に回復した. 患肢は, 外転しながら癒合したとみられ, 蹄尖部が起立時は左斜め方向に向いていた. その違和感からか, 歩行時は左側前肢を伸張気味に前方に出して外蹄から着地するような歩様となったが, 終始疼痛症状は認められなかった. 切断した過剰趾は, 付着部位から第一二趾と推察された. 術後の発熱や疼痛症状等は認められなかったことから, 手術自体は子牛に大きなダメージを与えなかったと考えられた. |
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ISSN: | 1346-8464 |