5.精上皮に由来する円形細胞の馬精巣上体管内における形態および数的変化について
馬精巣上体の各部灌流液中に見られる円形細胞の形態および数的変化を観察し, 射出精液中の円形細胞の出現数との関連性についても検討を加えた. 実験には, 5~28歳の21頭の種雄馬から採取した精液23検体および4頭の雄馬から摘出した精巣および精巣上体を供試した. 摘出精巣および精巣上体を分離する際に精巣輸出管の精巣上体頭移行部からの漏出液を回収した. また, 精巣上体頭, 精巣上体体の上部, 中部, 下部, および精巣上体尾の5つの部位から摘出した精巣上体管の小塊をPBSで灌流して精巣上体管液を回収した. これらの灌流液と射出精液について精子および円形細胞数の計数を行うと共に, それぞれの塗抹標本...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本家畜臨床学会誌 2002, Vol.25 (2), p.66-66 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 馬精巣上体の各部灌流液中に見られる円形細胞の形態および数的変化を観察し, 射出精液中の円形細胞の出現数との関連性についても検討を加えた. 実験には, 5~28歳の21頭の種雄馬から採取した精液23検体および4頭の雄馬から摘出した精巣および精巣上体を供試した. 摘出精巣および精巣上体を分離する際に精巣輸出管の精巣上体頭移行部からの漏出液を回収した. また, 精巣上体頭, 精巣上体体の上部, 中部, 下部, および精巣上体尾の5つの部位から摘出した精巣上体管の小塊をPBSで灌流して精巣上体管液を回収した. これらの灌流液と射出精液について精子および円形細胞数の計数を行うと共に, それぞれの塗抹標本について形態観察を行った. なお, 円形細胞は直径が7μm以下の小型細胞(SC), 7μm~12__5μmの中型細胞(MC), 12__5μm以上の大型細胞(LC)に分けて観察を行った. 精子1000尾に対する円形細胞の平均出現数は, 精巣輸出管で5__73であったが, 精巣上体頭では45__01に急増した. しかし, 精巣上体体上部では3__05に低下していた. また, 精巣上体中部では2__06, 精巣上体体下部では4__87, および精巣上体尾では8__19と精巣上体体中部以下では漸増する傾向が見られた. また, 精巣上体尾から回収した円形細胞についてニグロシンを用いた生死鑑別染色を行ったところ, 65__8%が生存していた. 精巣輸出管および精巣上体管内の円形細胞を大きさ別にみると, MCの出現割合が最も高く, 54__9~71__4%を占めていた. 一方, SCは精巣輸出管では14__7%であったが, 精巣上体管内では26__2~42__2%を占めており, MCの割合が増加するとSCが減少するような, 相反する増減傾向が見られた. LCの割合は精巣輸出管では16__8%であったが, 精巣上体管内では2__4~4__7%の低い割合であった. 一方, 射出精液中の円形細胞の平均出現数は0__20と精巣上体管での出現数に比べて極めて低く, 大きさ別に円形細胞をみるとSCが4__8%, MCが90__1%, LCが5__1%であり, 精巣上体管内における割合に比べ, MCの割合が著しく高かった. 円形細胞の形態から判断すると, 主にSCは精子細胞と変性過程にある細胞, MCは精母細胞および精子細胞, LCは精母細胞に由来するのではないかと判断されたが, その詳細は電子顕微鏡を用いた観察が必要であると思われる. 以上の結果から, 精上皮由来の円形細胞は精巣上体通過中に大多数が消失することが明らかとなり, 射出精液中に出現する円形細胞は精巣上体頭でみられるものの1/100以下である可能性が示唆された. また, 今回観察できなかった精管から射精口に至るまでの間にも細胞数が減少することも示唆されたので, 今後, 円形細胞の出現機構や雄生殖道内での円形細胞排除機構などについてさらに検討を行う必要がある. |
---|---|
ISSN: | 1346-8464 |