看護学生アイデンティティ尺度 (SEINS) の開発および信頼性と妥当性の検討

「要旨」 【目的】 看護学生としてのアイデンティティ(看護師を目指す一貫した自己意識)を測定するために, 看護学生アイデンティティ尺度(Scale of Ego-Identity for Nursing Student: SEINS)を開発し, 信頼性と妥当性について検討する. 【方法】 まず, 同一性地位判定尺度12項目(ISS: 加藤, 1983)を参照し, 原案12項目6件法を作成した. 次に, 看護学生A群313名を対象に, 本原案を用いて質問紙調査を実施し因子分析を行った. 最後に, 看護学生B群79名を対象に, 因子分析後の尺度を用いて, その信頼性と妥当性の検討を行った. 質問紙...

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Veröffentlicht in:富山大学看護学会誌 2014-06, Vol.14 (1), p.49-58
Hauptverfasser: 浜多美奈子, 比嘉勇人, 田中いずみ, 山田恵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 【目的】 看護学生としてのアイデンティティ(看護師を目指す一貫した自己意識)を測定するために, 看護学生アイデンティティ尺度(Scale of Ego-Identity for Nursing Student: SEINS)を開発し, 信頼性と妥当性について検討する. 【方法】 まず, 同一性地位判定尺度12項目(ISS: 加藤, 1983)を参照し, 原案12項目6件法を作成した. 次に, 看護学生A群313名を対象に, 本原案を用いて質問紙調査を実施し因子分析を行った. 最後に, 看護学生B群79名を対象に, 因子分析後の尺度を用いて, その信頼性と妥当性の検討を行った. 質問紙には, 属性, 身体的健康感, ストレス感, 多次元自我同一性尺度(MEIS)を加えた. 【結果】 A群の有効回答者は284名であり, B群の有効回答者は78名であった. 因子分析の結果, 8項目2因子が抽出され, 第I因子4項目を「達成志向」と命名し, 第II因子4項目を「寄与志向」と命名した. 「達成志向」と「寄与志向」の因子間相関係数は0.63であった. これをSEINSとした. 累積寄与率は39.50%であった. 信頼性については, α=0.77とr=0.82で確認された. 妥当性については, r=0.58で確認された. SEINSと身体的健康感には, V-0.28が確認された. 【考察】 SEINSと正の相関を認めたMEISの下位尺度には「心理社会的同一性(社会との適応的な結びつきの感覚)」や「対自的同一性(自己意識の明確さの感覚)」などがあることとSEINSの下位尺度の項目内容から, 「達成志向」は「看護の方向性を見定め達成しようとする自己意識」と定義し, 「寄与志向」については「看護に積極的に寄与しようとする自己意識」と定義した. SEINSの指標判定については, 「23点以下: アイデンティティ拡散傾向」「24-32点: モラトリアム」「33点以上: アイデンティティ確立傾向」と定めた. また, SEINSと身体的健康感との連関係数値から, アイデンティティ状態(拡散-確立)と身体的健康感(悪い-良い)の相互関連性が示唆された. 以上の信頼性と妥当性の検討より, 開発したSEINSは実用可能な尺度であると判断した.
ISSN:1882-191X