日本心身健康科学会奨励賞受賞にあたって

このたび, 第22回日本心身健康科学会学術集会の学会奨励賞を受賞することができ, 大変嬉しく感じております. 私は, 以前, 作業療法士として精神科病院で働いていました. その当時, 患者の「こころ」の側面の問題だけでなく, 「からだ」の側面の問題にももっと焦点を当てるべきではないかと考えていました. このような思いから, 臨床を離れたのち, 心身相関を軸にした心身健康科学を学ぼうと人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科心身健康科学専攻修士課程へ入学, 修了し, 現在は, 博士後期課程に在籍して研究を進めております. 私は, 自閉症スペクトラムの方の手記から, 「お腹がすいたという感覚がわか...

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Veröffentlicht in:心身健康科学 2016-09, Vol.12 (2), p.70-70
1. Verfasser: 田中宏明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:このたび, 第22回日本心身健康科学会学術集会の学会奨励賞を受賞することができ, 大変嬉しく感じております. 私は, 以前, 作業療法士として精神科病院で働いていました. その当時, 患者の「こころ」の側面の問題だけでなく, 「からだ」の側面の問題にももっと焦点を当てるべきではないかと考えていました. このような思いから, 臨床を離れたのち, 心身相関を軸にした心身健康科学を学ぼうと人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科心身健康科学専攻修士課程へ入学, 修了し, 現在は, 博士後期課程に在籍して研究を進めております. 私は, 自閉症スペクトラムの方の手記から, 「お腹がすいたという感覚がわかりにくい」, 「体温調節ができない」など, からだの中からの情報をキャッチすることが難しいことを知りました. このような身体内部環境に関する感覚を内受容感覚と呼びます. 内受容感覚の困難さは, 自閉症スペクトラムだけでなく, うつ病などの疾患でも報告されています. また, 健常者でも個人差があります. 私は, 修士課程の時から, この内受容感覚に注目して研究テーマを探してきました. 奨励賞を受賞した私の研究は, 20歳代の健常者を対象に, 内受容感覚の鋭敏さと他者の感情を理解する共感との関連について調べたものです. 今回の研究では, 内受容感覚の鋭敏さと共感との間には関連があることが確認できました. 今後は, その関連のメカニズムを調べる研究が必要と考え, 日々あたまを悩ませながら, 試行錯誤しているところです. 将来は, 自閉症スペクトラムやうつ病への治療に対して, 有益な情報を提供できる研究に発展させたいと考えています. 人間総合科学研究科の先生方, 今後ともご指導よろしくお願いいたします. [略歴] 1995年3月 京都府立大学文学部社会福祉学科卒業 1999年3月 大阪府立看護大学医療技術短期大学部作業療法学科卒業 2015年3月 人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科心身健康科学専攻(修士課程)修了 2015年4月 人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科心身健康科学専攻(博士後期課程)入学(現在に至る)
ISSN:1882-6881