心身の質的評価による転倒危険因子の探索的横断調査

【目的】障害を持つ高齢者にとって, 健康的な生活を脅かす転倒への予防・対策は不可欠である. 転倒は身体的要因, 精神的要因, 環境的要因の相互作用により発生するとされるが, 詳細は不明である. 本研究の目的は姿勢制御評価や簡易性格検査を利用して, 心身の質的評価が転倒の危険性を判別し得るか否かを調査することである. 【方法】同意を得たA病院併設通所施設利用者12名(脳血管障害後遺症10名, 骨折後運動能力低下2名)を対象として, 質問紙調査(転倒調査, 日常生活調査, 主要5因子性格検査)を実施した. うち6名はVTR撮影下にて下肢加重・重心動揺計測器上でファンクショナルリーチテスト(以下FR...

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1. Verfasser: 福留英明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】障害を持つ高齢者にとって, 健康的な生活を脅かす転倒への予防・対策は不可欠である. 転倒は身体的要因, 精神的要因, 環境的要因の相互作用により発生するとされるが, 詳細は不明である. 本研究の目的は姿勢制御評価や簡易性格検査を利用して, 心身の質的評価が転倒の危険性を判別し得るか否かを調査することである. 【方法】同意を得たA病院併設通所施設利用者12名(脳血管障害後遺症10名, 骨折後運動能力低下2名)を対象として, 質問紙調査(転倒調査, 日常生活調査, 主要5因子性格検査)を実施した. うち6名はVTR撮影下にて下肢加重・重心動揺計測器上でファンクショナルリーチテスト(以下FRT)を行い, FRT前後の手指先端到達距離(イメージ及び実行距離), 足圧中心及び重心移動距離, 股, 膝, 足関節角度変化を測定した. さらに動作能力の高い3名は閉眼, 二重課題(しりとり遊び)の環境でもFRTを測定した. 本研究はA病院及びB大学の倫理審査にて承認を得ている. 【結果】過去1年以内の転倒歴を持つものは12名中5名であった. 転倒歴で群別して調査項目を比較したところ, 年齢, 一般的転倒危険因子の保有数, 性格4因子には差を認めなかった. 有意ではないものの転倒群では手段的日常生活動作可能率が高く, 性格因子の情緒安定性が低い傾向を認めた. FRTでは転倒群において到達距離及び重心移動距離がより長く, イメージ距離と実行距離は乖離し, 関節角度変化は大きい傾向であった. さらに制約された環境では各関節の運動戦略に変化を生じた. 【考察及び結論】一般的な危険因子は必要条件であり, 日常生活の活動状態が転倒に影響すると考えられた. さらに情緒安定性や動作関連因子が転倒歴と関連する傾向にあり, 性格検査と運動戦略評価は転倒の危険性をより鋭敏に判別できる可能性を有していた. 今後さらに心身両面からの調査を継続して情報を集積する予定である.
ISSN:1882-6881