メンタルヘルスと食物摂取状況の関連-メンタルヘルスと食習慣の間に示される要因と男女差の検討

【目的】第5回人間総合科学会にて我々はメンタルヘルスと栄養摂取状況や食物摂取状況, 食習慣の間で幾つかの相関が見られたことを示した. しかしながらメンタルヘルスと食物摂取状況における因果関係の考察や男女差の検討には至らなかった. 我々はこの度, メンタルヘルスと食習慣の関係から因果関係の検討と男女差が見られるかを検討すべく解析を進めたのでここに報告する. 【対象】医療技術者を養成する専門学校における健康診断日に集まった平成19年度新入学生213名. 実施に当たり, 研究目的・方法・データの取り扱いなどを説明し, 専門学校から許可を得, また学生に同趣旨の説明文書を配布し, 回答により同意を得た...

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Hauptverfasser: 阿部裕二, 近藤昊, 山田成
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】第5回人間総合科学会にて我々はメンタルヘルスと栄養摂取状況や食物摂取状況, 食習慣の間で幾つかの相関が見られたことを示した. しかしながらメンタルヘルスと食物摂取状況における因果関係の考察や男女差の検討には至らなかった. 我々はこの度, メンタルヘルスと食習慣の関係から因果関係の検討と男女差が見られるかを検討すべく解析を進めたのでここに報告する. 【対象】医療技術者を養成する専門学校における健康診断日に集まった平成19年度新入学生213名. 実施に当たり, 研究目的・方法・データの取り扱いなどを説明し, 専門学校から許可を得, また学生に同趣旨の説明文書を配布し, 回答により同意を得たものとした. 【方法】食物摂取状況調査(FFQg), 精神健康調査(GHQ28項目版), 食習慣調査を組み合わせた冊子状の調査用紙を配布し集団記入法にて調査を実施した. 統計解析は男女別に偏相関分析, 並びに重回帰分析を用いてGHQ総得点並びにGHQの下位尺度得点と食習慣総得点, 並びに食習慣の下位尺度得点をそれぞれ変数として解析した. 【結果】136名の回収のうち回答に不備のない84名(男性45名, 女性39名, 平均年齢23.8±7.1歳)を分析対象とした. GHQ総得点に影響を与える食習慣の要因においては男性では有意な結果が得られなかったが, 女性では食態度得点がGHQ総得点に影響を与える要因として有意な結果を得た(p<0.01). また, 食習慣総得点に影響を与えるメンタルヘルスの要因においては男性ではうつ傾向得点と社会的活動障害得点が投入され, うつ傾向得点が食習慣に影響を与える要因として有意な結果を得た(p<0.05). 一方, 女性では不眠不安得点が食習慣に影響を与える要因として有意な結果を得た(p<0.001). 【考察】結果から男女ともに食習慣はメンタルヘルスの影響を受けるが, その要因は異なること. また, 女性の方が強い影響を受けることが見出された. 一方, メンタルヘルスは女性において食習慣の影響を受けるが, 男性では食習慣はあまり影響を及ぼさないことが示された. 今回, 調査を行った対象は青年期初期の男女が多いため, 食行動異常の側面も十分考えられるが, 心身健康の観点から食事は重要な要素のひとつであることを改めて確認することができた.
ISSN:1882-6881