新しい利き手交換リハビリ法による巧緻性向上について

【目的】本研究は病気やケガにより“利き手"の機能が失われた際, その役割をもう一方の“非利き手"へスムーズにシフトするため「洗い桶拭き取り練習」という新しい利き手交換リハビリテーション法を考案した. この方法を健常者の非利き手に用いた結果, 巧緻的な動きが要求される歯みがき動作の改善を認めたので報告する. 【方法】非利き手で行う洗い桶拭き取り練習を1日5分5日間実施. 毎回練習後に「拭き取り面積」, 「拭き取り所要時間」, 練習に対する主観的評価を「Visual Analogue Scale(以下VAS)」測定し, 練習の習熟度を評価した. 洗い桶拭き取り練習施行前後に効果...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 西久保真弓, 福田潤
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】本研究は病気やケガにより“利き手"の機能が失われた際, その役割をもう一方の“非利き手"へスムーズにシフトするため「洗い桶拭き取り練習」という新しい利き手交換リハビリテーション法を考案した. この方法を健常者の非利き手に用いた結果, 巧緻的な動きが要求される歯みがき動作の改善を認めたので報告する. 【方法】非利き手で行う洗い桶拭き取り練習を1日5分5日間実施. 毎回練習後に「拭き取り面積」, 「拭き取り所要時間」, 練習に対する主観的評価を「Visual Analogue Scale(以下VAS)」測定し, 練習の習熟度を評価した. 洗い桶拭き取り練習施行前後に効果判定として, 非利き手で行う歯みがき動作時の司重工心動揺」, 「肘頭の動く距離」を計測し, 歯みがき動作に対する主観的評価は「VAS」にて比較した. 【結果】洗い桶拭き取り練習の習熟度は, 「拭き取り面積」, 「VAS」に有意な差が見られた(P<0.05). 洗い桶拭き取り練習の効果は, 練習期間前後で「重心動揺」, 「肘頭の動く距離」, 「VAS」いずれも有意差が得られた(P<0.05). 【考察】「洗い桶」という狭い空間内で非利き手は動く方向, 抵抗感, スピード, タイミングを探索している. 上肢全体の複合活動により肩関節周囲の過剰な力が抜け, 手指の操作性を引き出したため非利き手での歯みがき動作が容易になったと考える. 今回考案した洗い桶拭き取り練習は, 障害された上肢機能に対しても応用できると考える. 【結論】本研究で考案した新しい利き手交換リハビリテーション法「洗い桶の拭き取り練習」は, 非利き側上肢全体の柔軟な動きを引き出しながら協調的な活動を促す効果があり, 安全で簡便な方法であるため, 利き手に障害を負った患者のQOLを高める目的で今後リハビリテーションの現場での活用が期待できる.
ISSN:1882-6881