術後18年目に経気管支生検にて肺転移再発と診断した甲状腺乳頭癌の1例

症例は79歳,女性.18年前に甲状腺乳頭癌,15年前に肺腺癌の手術歴があった.両疾患とも5年間再発なく経過したため,経過観察は行われていなかった.前胸部痛および胸部違和感を主訴に近医を受診し,胸部CTで右下葉に14 mm大の結節影と両肺に散在する5-7 mm大の小結節影を指摘された.当科で診断のためにガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography with a guide sheath(EBUS-GS))を行う方針となり,超音波下に病変を確認し,透視下に経気管支生検を行った.病理学的には十分量の腫瘍細胞が採取され,腺癌の所見が得られた.核異型...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2020/12/01, Vol.42(4), pp.353-358
Hauptverfasser: 榊原, 秀樹, 内村, 圭吾, 原, 幸歌, 真鍋, 大樹, 神田, 英樹, 森本, 俊規, 茂見, 紗喜, 中村, 圭, 橋本, 康平, 岩永, 優人, 立和田, 隆, 山﨑, 啓, 川波, 敏則, 矢寺, 和博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は79歳,女性.18年前に甲状腺乳頭癌,15年前に肺腺癌の手術歴があった.両疾患とも5年間再発なく経過したため,経過観察は行われていなかった.前胸部痛および胸部違和感を主訴に近医を受診し,胸部CTで右下葉に14 mm大の結節影と両肺に散在する5-7 mm大の小結節影を指摘された.当科で診断のためにガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography with a guide sheath(EBUS-GS))を行う方針となり,超音波下に病変を確認し,透視下に経気管支生検を行った.病理学的には十分量の腫瘍細胞が採取され,腺癌の所見が得られた.核異型と核内封入体を有する異型円柱上皮細胞が乳頭状に増殖しており,免疫組織化学染色においてもサイログロブリン陽性であり,甲状腺乳頭癌の肺転移再発と診断した.甲状腺乳頭癌では肺腺癌のマーカーとして汎用されているthyroid transcription factor-1(TTF-1)が陽性となることから,両者の鑑別に用いることはできない.甲状腺乳頭癌は進行が緩徐であること,また,転移性肺腫瘍は原発性肺癌と異なり,発生母地が気管支ではないことから,気管支鏡ではアプローチしづらく診断に難渋することが多い.しかしながら,甲状腺乳頭癌のような緩徐に進行する転移性肺腫瘍に対しても,手技を工夫することで,経気管支生検は診断において有用な手技と考えられた.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.42.353