進行・再発非小細胞肺癌に対するNivolumab投与症例の検討

近年,癌免疫療法の発展は著しく,免疫チェックポイント阻害剤の臨床効果も多数報告されている.これらの薬剤は,殺細胞性抗癌剤や分子標的薬に抵抗性を示す進行肺癌においても治療効果を発揮し,全生存期間の延長をもたらす優れた治療法である.今回,当科で免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗programmed cell death 1(PD-1)抗体を投与した肺癌症例10例を解析し,文献的に考察した.当科にて,進行・再発非小細胞肺癌に対して,抗PD-1抗体であるnivolumab投与を行った10例について後方視的に検討した.症例は男性6例,女性4例で,腺癌7例,扁平上皮癌2例,多形癌1例であった.腺癌は...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2017/12/01, Vol.39(4), pp.291-297
Hauptverfasser: 市来, 嘉伸, 岩浪, 崇嗣, 柿添, 圭成, 濱津, 隆之, 末廣, 剛敏, 米田, 和恵, 田中, 文啓, 杉町, 圭蔵
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年,癌免疫療法の発展は著しく,免疫チェックポイント阻害剤の臨床効果も多数報告されている.これらの薬剤は,殺細胞性抗癌剤や分子標的薬に抵抗性を示す進行肺癌においても治療効果を発揮し,全生存期間の延長をもたらす優れた治療法である.今回,当科で免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗programmed cell death 1(PD-1)抗体を投与した肺癌症例10例を解析し,文献的に考察した.当科にて,進行・再発非小細胞肺癌に対して,抗PD-1抗体であるnivolumab投与を行った10例について後方視的に検討した.症例は男性6例,女性4例で,腺癌7例,扁平上皮癌2例,多形癌1例であった.腺癌はすべてepidermal growth factor receptor(EGFR)wild type,anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陰性であった.切除不能肺癌9例,術後再発症例1例であり,2nd lineが8例,3rd lineが1例,4th lineが1例であった.nivolumabの平均投与回数は,7.4回であった.生存率はKaplan-Meier法を用いて計算した.nivolumabの治療効果は,partial response(PR) 2例,stable disease(SD) 4例,progressive disease(PD) 4例であった.この合計10例のデータであるが,奏効率20%,病態制御率60%であった.median progression-free survivalは115日で,median overall survivalは126日であった.有害事象として,皮疹2例,発熱1例,全身倦怠感1例,肺障害1例に認めた.うち1例は重篤な有害事象で,grade 4のStevens-Johnson 症候群を認めたが,ステロイドパルス,ステロイド軟膏および点眼にて軽快した.進行・再発非小細胞肺癌10例に対してnivolumab投与を行い,2例の奏効した症例を経験した.一方,重篤な有害事象としてgrade4のStevens-Johnson 症候群を認めた.優れた効果が期待される一方,注意深い症例選択と経過観察が必要である.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.39.291