26. 化学物質の胎児期曝露がもたらす次世代の高次脳機能への影響の評価とその機序としてのエピジェネティック変異解析
昨年度の本研究に申請し採択された研究課題『次世代の精神・神経発達に対する化学物質曝露の影響 ―胎児期/小児期曝露モデル動物の行動学的解析―』の成果として, 我々はフロン代替物質の胎児期曝露が成長後の記憶や情動性といった高次脳機能にも影響を及ぼすことを見出している. この成果を踏まえて本研究では, 継続課題として化学物質の胎児期曝露がもたらす次世代の高次脳機能に対する影響をさらに評価することに併せ, この影響の発現機序にエピジェネティック異常が関与するものであるかを検討することを目的とした. 妊娠Wistar系ラットに対してフロン代替物質1-プロモプロパン(1BP)を妊娠2日目から出産前目の連続...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | JOURNAL OF UOEH 2011-03, Vol.33 (1), p.105-105 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 昨年度の本研究に申請し採択された研究課題『次世代の精神・神経発達に対する化学物質曝露の影響 ―胎児期/小児期曝露モデル動物の行動学的解析―』の成果として, 我々はフロン代替物質の胎児期曝露が成長後の記憶や情動性といった高次脳機能にも影響を及ぼすことを見出している. この成果を踏まえて本研究では, 継続課題として化学物質の胎児期曝露がもたらす次世代の高次脳機能に対する影響をさらに評価することに併せ, この影響の発現機序にエピジェネティック異常が関与するものであるかを検討することを目的とした. 妊娠Wistar系ラットに対してフロン代替物質1-プロモプロパン(1BP)を妊娠2日目から出産前目の連続20日間(6時間/日), 濃度700ppmにて吸入曝露し, 産まれた雄性仔ラットを1BP胎仔期曝露群とした. 昨年度は離乳後より個別飼育としていたが, 今年度は3~4匹/ケージの集団で飼育を行い, 4週齢にてオープンフィールド試験を試行した. 昨年度は対照群と比較して1BP胎仔期曝露群で行動量に増加傾向が認められたものの, 今回は一転して減少傾向にあった. そこで飼育条件による違いで比較検討(すなわち同じ群での昨年度と今年度とでの比較)したところ, 対照群では有意な差を認めなかったが, 胎仔期曝露群では行動量の有意な減少を認めた. さらに今年度は短期記憶を評価する試験として受動的回避試験ならびに自発交替行動試験(Y-maze test)を6週齢で試行した. 受動的回避試験では対照群と比較して有意差は認められなかったものの胎仔期曝露群で記憶保持の低下傾向が出現したが, 自発交替行動試験では胎仔期曝露による有意な影響は認められなかった. 昨年度の結果と合わせ, 本研究では離乳後の飼育環境~個別すなわち社会的隔離~によって1BP胎児期曝露の神経行動に対する影響が異なった形で出現する可能性が示唆された. この影響の機序にエピジェネティック異常が関与している可能性については現在検討中である. なお本研究は産業医科大学平成21年度産業医学・産業保健重点研究の助成を受けたものであり, また一部は科研費(18510064, 20591237)の助成を受けたものである. |
---|---|
ISSN: | 0387-821X |