5. 日本の産業看護職の課題と強み -日米産業看護職の活動分析より

日米産業看護職の実際の活動分析より日本の産業看護職の課題および強みを明らかにすることを目的とした. 日米間の活動レベルでの産業看護職の違いは, 教育的な背景に裏づけされているものであり, 両国の活動分析を行うことは, 産業看護職の教育のあり方を検討する上で, 重要な基礎研究になると推察した. 研究方法は, 同業種かつ同企業系列の米国産業看護職および本国産業保健師の各6名を対象とし, データ収集には米国の産業看護職には, 米国で作成された質問紙Job Analysis Survey of Occupational Health Nursing Practiceを用いた. また, 日本の産業看護職...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2010-03, Vol.32 (1), p.103-103
Hauptverfasser: 原善子, 中谷淳子, 石原逸子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日米産業看護職の実際の活動分析より日本の産業看護職の課題および強みを明らかにすることを目的とした. 日米間の活動レベルでの産業看護職の違いは, 教育的な背景に裏づけされているものであり, 両国の活動分析を行うことは, 産業看護職の教育のあり方を検討する上で, 重要な基礎研究になると推察した. 研究方法は, 同業種かつ同企業系列の米国産業看護職および本国産業保健師の各6名を対象とし, データ収集には米国の産業看護職には, 米国で作成された質問紙Job Analysis Survey of Occupational Health Nursing Practiceを用いた. また, 日本の産業看護職にはJob Analysis Survey of Occupational Health Nursing Practiceを2004年に石原らが翻訳した質問紙を用いた. 結果, 米国の産業看護職の強みは, Nurse Practitioner(NP)としての資格を生かし, 産業医に代わって自ら診断と薬の処方・治療が行えること, さらに, 労災保険の拠出をさけるためのケースマネージャーとしての役割があることが分かった. 一方, 日本の産業看護職の強みは, 予防的な観点から健康増進にむけた活動を行っていることが分かった. しかし, 予防的な活動は経済的な評価に置き換えることが難しいこと, また, 本来重要な職業病や業務上関連疾患の予防が健康増進活動に偏り過ぎてしまっていることなどが考えられた. そのため, 産業看護活動に対する評価方法や産業保健に関する専門的な教育整備などの改善点が考えられた. 米国と日本の産業看護活動の違いは, 看護教育体制や資格制度, 健康診断の実施や産業医の雇用など労働安全衛生法における法的要件, 労災・医療保険制度などの産業保健に関する諸制度の違いによると推察された. 今後は日本の現状制度を生かしつつ, 専門性の高い産業看護活動・教育について考えていきたい. 本研究は「平成21年度産業医学重点研究」の支援を受けた.
ISSN:0387-821X