44,電子カルテシステム利用にむけた実習前の準備教育についての検討

目的:看護学実習におけるカルテの閲覧は, 対象理解を進める一手段であり, 看護過程の学習に不可欠なものである. 本学部では, 実習施設の電子カルテシステム(以下電子カルテと略)導入に伴い, 実習開始前に操作訓練を含めた電子カルテ閲覧の準備教育(以下準備教育と略)を企画し実施した. そこで, 今回の準備教育の効果を明らかにすることを目的に, 学生および教員に対して質問紙調査を行い, 今後の課題を検討した. 方法:実習開始前に準備教育を受け, A病院で平成17年5月~7月に臨地実習を行った看護学生70名と実習指導教員10名に対し, 無記名の自記式質問紙を配布し, 回収箱を設置して回収した. 質問内...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2006-03, Vol.28 (1), p.135-135
Hauptverfasser: 永松有紀, 金山正子, 阿南あゆみ, 竹山ゆみ子, 安井陽子, 柴田弘子, 吉岡真, 川本利恵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:看護学実習におけるカルテの閲覧は, 対象理解を進める一手段であり, 看護過程の学習に不可欠なものである. 本学部では, 実習施設の電子カルテシステム(以下電子カルテと略)導入に伴い, 実習開始前に操作訓練を含めた電子カルテ閲覧の準備教育(以下準備教育と略)を企画し実施した. そこで, 今回の準備教育の効果を明らかにすることを目的に, 学生および教員に対して質問紙調査を行い, 今後の課題を検討した. 方法:実習開始前に準備教育を受け, A病院で平成17年5月~7月に臨地実習を行った看護学生70名と実習指導教員10名に対し, 無記名の自記式質問紙を配布し, 回収箱を設置して回収した. 質問内容は, 準備教育による電子カルテおよび個人情報に対する理解度, 実習開始後の電子カルテの利用状況などであった. 対象者に, 研究目的, 匿名の確保, 実習評価に影響しないこと, 自由参加であること等を文書で説明し, 質問紙の返却により参加協力の意思を確認した. 結果:53名の学生(回収率75.6%)と, 9名の教員(回収率90.0%)から回答を得た. 準備教育により, 「診療録の電子保存に関する運用管理規定」を理解できたと答えた学生は21名(40%), 「個人情報の保護」について理解できたと答えた学生は, 49名(92%)であった. 一方, 電子カルテの操作方法は, 準備教育によって学生の16名(30%)が理解できたと答えるに留まったが, 2週間の実習期間内では学生および教員を含めた対象者のうち52名(83%)が, 電子カルテを一人で閲覧することが可能となったと回答していた. 考察:結果より, 実習前の準備教育は一定程度の効果を示していると考える. その背景には, 学生は3年次までに電子カルテ閲覧に必要な医療情報科学の基礎的知識を履修しており, パソコンの基本操作技術に習熟していたことがあげられる. また, 指導教員が環境を調整し, 学生が初めて電子カルテを閲覧する際に個別対応したことも, その後の閲覧が円滑に進んだ要因の一つであると推察する. 今後の課題として, 閲覧する端末機器の確保や, 電子カルテの情報のみに依拠しない, 必要に応じて能動的に情報収集を行う力の育成が必要であると考える.
ISSN:0387-821X