13.酸化ニッケルの気管内注入によるラット肺生体影響

[目的]サブミクロンサイズの酸化ニッケル粒子を動物に気管内注入し, 生体影響を比較検討することでナノ粒子に対するハザードメントシステムの構築のための一知見とすることを目的とした. [研究方法]ミクロンサイズ酸化ニッケル(NiOL)粒子原粉より液相分離法にて試料(サブミクロンサイズNiO:NiOf)を作成し, これを1mgまたは2mgずつ0.4mlの生理食塩水に懸濁させ, 10週齢のWistar系雄性ラットに25匹ずつ, 対照群の生理食塩水のみ注入する群を含め計75匹に気管内注入した. 注入後3日, 1週, 1ヶ月, 3ヶ月, 6ヶ月の各時点で各群5匹を解剖した. 血液, 気管支肺胞洗浄液(BA...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2006-03, Vol.28 (1), p.120-120
Hauptverfasser: 大神明, 大藪貴子, 長友寛子, 長渕祥大, 廣橋雅美, 黒田香織, 大和浩, 森本泰夫, 田中勇武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]サブミクロンサイズの酸化ニッケル粒子を動物に気管内注入し, 生体影響を比較検討することでナノ粒子に対するハザードメントシステムの構築のための一知見とすることを目的とした. [研究方法]ミクロンサイズ酸化ニッケル(NiOL)粒子原粉より液相分離法にて試料(サブミクロンサイズNiO:NiOf)を作成し, これを1mgまたは2mgずつ0.4mlの生理食塩水に懸濁させ, 10週齢のWistar系雄性ラットに25匹ずつ, 対照群の生理食塩水のみ注入する群を含め計75匹に気管内注入した. 注入後3日, 1週, 1ヶ月, 3ヶ月, 6ヶ月の各時点で各群5匹を解剖した. 血液, 気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取し, 左肺は病理組織用とした. BALFは炎症細胞数と好中球分画を算定した. 肺病理標本はHE染色し, 組織の炎症性を評価した. 比較対照として, 以前に当研究室で行った結晶質シリカ(粒径0.7μm)のラット気管内注入試験の結果を用いた. [結果]血液中の好中球数はNiOf注入群で対照群より増加する傾向が認められた. BALF中の炎症細胞数は, 対照群とNiOL注入群とでは有意差は認められなかった. 一方で, NiOf注入群は観察期間を通して, 有意に炎症細胞数は増加していた. NiOf注入群では注入後3日より顕著な好中球の増加が認められ, 経時的に割合は減少していた. 肺組織ではNiOf注入群では注入直後より炎症性変化が顕著に認められた. これは結晶質シリカ注入の結果に匹敵した. より微細な酸化ニッケル粒子の吸入後の体内動態を検討するために, 血液, 肝臓でのニッケル定量を試みた. まだ予備実験の段階であるが, X線回折により高回収率でニッケルを定量することが可能と思われた. [結論]サブミクロンサイズの酸化ニッケルはミクロンサイズの酸化ニッケルより吸入毒性が高いことが示唆された. 吸入性粒子の毒性を考慮する場合, 粒径が微細になる要因の生体影響の大きさがあらためて確認された.
ISSN:0387-821X