46. 産業医科大学病院入院患者由来腸内細菌に認められたクラスCβ-ラクタマーゼ遺伝子とその酵素化学的性状
細菌のβラクタム剤耐性の主要なメカニズムはその不活化(分解)酵素β-ラクタマーゼ(Bla)の産生に起因するところが大きい. β-ラクタマーゼ遺伝子(bla)あるいはその調節遺伝子(ampR)の研究が進むにおよび, 細菌類はさまざまな変異を通じて基質スペクトルの拡大や産生量の増大をもたらし, ひいては感染症の難治化につながる原因として深刻さを増している. われわれは先に(1997年), 本学病院入院患者より分離された全21菌種, 300を越える菌株につきβ-クタム剤感受性を試験する機会を得た. 本調査を通じ, 主として腸内細菌に認めたβ-ラクタム剤に対して多剤耐性を示す4菌種6菌株(Citrob...
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Veröffentlicht in: | JOURNAL OF UOEH 2003, Vol.25 (1), p.155-155 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 細菌のβラクタム剤耐性の主要なメカニズムはその不活化(分解)酵素β-ラクタマーゼ(Bla)の産生に起因するところが大きい. β-ラクタマーゼ遺伝子(bla)あるいはその調節遺伝子(ampR)の研究が進むにおよび, 細菌類はさまざまな変異を通じて基質スペクトルの拡大や産生量の増大をもたらし, ひいては感染症の難治化につながる原因として深刻さを増している. われわれは先に(1997年), 本学病院入院患者より分離された全21菌種, 300を越える菌株につきβ-クタム剤感受性を試験する機会を得た. 本調査を通じ, 主として腸内細菌に認めたβ-ラクタム剤に対して多剤耐性を示す4菌種6菌株(Citrobacter freundii, Enterobacter clacae各1株, Enterobacter aerogenes, Serratia marcescens各2株)につきbla遺伝子およびその酵素化学的性状を調べた. S. marcescens2株に認められた18.7kbの伝達性プラスミドにはいずれもTEM-1(Class A)タイプのpI5.4を示すBlaをコードすることがわかった. 本プラスミドの導入によって得られた形質転換株および接合伝達株の示すCefbtaxime(4or8μg/ml)およびImipenem(8or16μg/ml)に対するMIC値は親株(それぞれ256μg/ml, 128μg/ml)に比べて著しく低く, S. marcescensには他に染色体性のBlaが耐性発現に関与していることが示唆された. なおこの2菌株は分離患者は異なるが, PFGE解析によるゲノムタイピングでは同一クローンであることがわかった. GenBank databaseへのaccessionにより得た情報をもとに設定されたprimer pairsを用いて全7種類のAmpCタイプ(Class C)bla遺伝子をPCR増幅によりスクリーニングした結果, C. freundiiの1株はblaCITファミリーに, またE. cloacaeの1株はP99ファミリーに分類されるblaENC遺伝子がいずれも染色体上にコードされていることがわかった. 今回の調査対象としたすべての菌株でpI>7のほぼ類似したBla-inhibitorsによる阻害パターンを示すことから, 同定が困難であったE. aerogenesおよびS. maecescensもAmpCタイプBlaを産生しているものと思われる. ampRの変異による過剰発現, あるいはampCの変異による基質スペクトル拡大の可能性については今後の追求課題として残った. |
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ISSN: | 0387-821X |