7. ウシ副腎髄質細胞でのオレキシン受容体の発現とその生理作用

オレキシン(オレキシン-A及び-B)は, 最近発見された視床下部ペプチドで, その受容体を介して強力な摂食亢進やエネルギーのホメオスターシスさらには睡眠の調節にも関与していると言われている. これらの中枢作用に加え, オレキシンは末梢組織(例えば膵臓や副腎皮質)においても生理, 薬理作用を示すことが知られている. さらに最近, ラット及びヒト副腎髄質でオレキシン受容体の存在が報告された. そこで今回, 私達はウシ副腎髄質におけるオレキシン受容体(OXR)の発現とカテコールアミン生合成, 分泌反応に対するオレキシンの影響について検討した. (方法) 培養ウシ副腎髄質細胞にオレキシン-Aを20分反...

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Veröffentlicht in:JOURNAL OF UOEH 2003-03, Vol.25 (1), p.136-136
Hauptverfasser: 田仲加寿美, 中島大輔, 河田泰定, 森貞直哉, 朝山光太郎, 白幡聡, 柳原延章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:オレキシン(オレキシン-A及び-B)は, 最近発見された視床下部ペプチドで, その受容体を介して強力な摂食亢進やエネルギーのホメオスターシスさらには睡眠の調節にも関与していると言われている. これらの中枢作用に加え, オレキシンは末梢組織(例えば膵臓や副腎皮質)においても生理, 薬理作用を示すことが知られている. さらに最近, ラット及びヒト副腎髄質でオレキシン受容体の存在が報告された. そこで今回, 私達はウシ副腎髄質におけるオレキシン受容体(OXR)の発現とカテコールアミン生合成, 分泌反応に対するオレキシンの影響について検討した. (方法) 培養ウシ副腎髄質細胞にオレキシン-Aを20分反応させ, 14C-チロシンからの14C-カテコールアミン生合成やその分泌を測定した. 又オレキシン-A処理した細胞でのチロシン水酸化酵素活性を測定した. また, OXR mRNAをRT-PCR法にて検索した. (結果) オレキシン-A(100pM)は14C-チロシンからの14C-カテコールアミン生合成を促進したが, 14C-DOPAからは促進しなかった. アセチルコリン(ACh)とオレキシン-Aを併用すると相加的に14C-カテコールアミン生合成が増加した. オレキシン-Aのカテコールアミン生合成促進は, プロテインキナーゼC阻害剤で完全に抑制された. さらに, オレキシン-A(1-100pM)は細胞内のチロシン水酸化酵素活性を濃度依存的に増加させた. 一方, オレキシン-Aはカテコールアミン分泌には影響を与えなかった. 副腎髄質からmRNAを調整して, それを用いてRT-PCRを行なったところ, OX1R mRNAが検出されたが, OX2R mRNAは検出されなかった. (考察) オレキシン-Aは, 副腎髄質においてチロシン水酸化酵素を活性化することにより, カテコールアミン生合成を促進していると考えられた. このオレキシン-Aの細胞シグナル伝達として, 少なくともOX1R-プロテインキナーゼC系の経路が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0387-821X